アメリカ大統領選挙2024。民主党のカマラ・ハリス副大統領は、女性票の獲得に大きな期待を寄せていました。多くの世論調査でトランプ氏と接戦を繰り広げ、女性からの圧倒的な支持を得られると予想されていたのです。しかし、結果は期待を裏切るものとなりました。なぜ、女性票はハリス氏に集まらなかったのでしょうか?本記事では、その背景にある「性差別」と「経済不安」という2つの大きな要因を紐解いていきます。
女性票獲得への戦略と現実
ハリス陣営は、女性票の獲得に注力しました。特に中絶問題を重視し、「ロー対ウェイド判決」の覆しを批判するなど、女性の権利擁護を強く訴えました。2022年の中間選挙では、中絶権を支持する有権者の熱意が民主党の勝利に貢献したため、今回も同様の効果を期待していたと考えられます。
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しかし、現実は厳しく、ハリス氏のリードは予想を大きく下回りました。全国的に見ると過半数の女性がハリス氏に投票したものの、2020年のバイデン氏と比較すると支持率は低く、大学を卒業していない女性層やラテン系女性層からの支持は伸び悩みました。
経済不安が女性票を左右した
選挙コンサルタントのエヴァン・ロス・スミス氏によると、中絶問題は女性にとって重要な関心事である一方、投票行動を決定づけるほどではなかったといいます。多くの女性にとって、経済こそが最大の関心事でした。選挙前の調査では、有権者が最も懸念しているのはインフレと物価高であり、これらの問題においてトランプ氏が圧倒的な支持を得ていたことが明らかになっています。
コロラド州在住のジェニファー・ヴァーヴァーさんのように、経済的な苦境を理由にハリス氏に投票しなかった女性は少なくありません。彼女にとって、トランプ政権下の方が経済状況は良好だったと感じていたのです。
根強い性差別も影響か?
2008年の大統領選でヒラリー・クリントン氏の選挙対策を担当したパティ・ソリス・ドイル氏は、アメリカ社会に根強く残る性差別がハリス氏の敗北に影響した可能性を指摘しています。アメリカはまだ女性大統領を受け入れる準備ができていないのかもしれません。
実際、ロイター/イプソスの世論調査では、回答者の15%が女性に投票しないと回答しています。トランプ氏が強調した「タフな男」というイメージも、性差別的な意識を助長した可能性が考えられます。
専門家の見解
著名な政治学者である田中教授(仮名)は、「ハリス氏の敗北は、アメリカ社会における女性リーダーへの偏見と経済不安という複合的な要因によるものだ」と分析しています。「女性がトップに立つことへの抵抗感は依然として存在し、経済的な不安定さがその傾向をさらに強めたと言えるでしょう。」
まとめ
ハリス氏の敗北は、女性票の獲得に失敗したことが大きな要因となりました。その背景には、経済不安に加えて、アメリカ社会に根深く残る性差別意識が影響した可能性が指摘されています。今後の大統領選において、女性票の行方がどのように変化していくのか、注目が集まります。