佳子内親王殿下が石川県立美術館で開催された日本伝統工芸展をご視察、輪島塗の人間国宝である山岸一男氏を激励されたエピソードをご紹介します。能登半島地震と奥能登豪雨という二重被災に見舞われた輪島塗の現状と、佳子さまの温かいお心に触れ、伝統工芸の未来への希望を感じます。
佳子さま、山岸氏へのお心遣い
10月29日、日本工芸会総裁を務める佳子内親王殿下が石川県立美術館で開催された「日本伝統工芸展」をご訪問。そこで、輪島塗の装飾技法「沈金」の人間国宝である山岸一男氏と交流されました。山岸氏は元日の能登半島地震で左肩を骨折し、金沢市に避難中。今回出品した紫の合子「間垣晩秋」について説明する山岸氏に、佳子さまは「お怪我は大丈夫ですか?」と気遣われたそうです。
山岸氏は、佳子さまの漆芸に対する深い造詣に感銘を受けたと語っています。作品に使われる貝の種類などについて説明すると、すぐに理解されたとのこと。佳子さまは「また良い作品を作ってくださいね」と激励の言葉をかけ、握手もされたそうです。地震で被災した山岸氏への特別な配慮に、他の出品者からも「特別扱いされてるね」と声が上がったという心温まるエピソードも明かされました。
佳子さまにご説明する山岸一男氏(左) ©共同通信社
二重被災の輪島塗、復興への道
能登半島地震と奥能登豪雨という二重被災に見舞われた石川県輪島市。特に、伝統工芸である輪島塗は存続の危機に瀕しています。輪島市には約1000人の輪島塗従事者がいますが、能登半島地震では約8割が何らかの被害を受けたとされています。
輪島塗の工程は、木地作り、塗師、蒔絵師、沈金師など、それぞれの専門職が分業して行われています。そのため、一人の被災が全体の工程に影響を及ぼし、制作が滞ってしまうのです。漆器の乾燥にも時間を要するため、復興には長い道のりが予想されます。
全壊した山岸氏の自宅
伝統を守る職人たちの想い
「文藝春秋」11月号では、山岸氏が「災害に負けない」と復興への強い意志を表明しています。しかし、現実は厳しい状況です。工房や材料が失われた職人たちは、制作再開の目途が立たないまま不安な日々を送っています。
伝統工芸を守る職人たちの想いを未来へ繋ぐためには、継続的な支援が必要です。佳子さまの激励は、被災した職人たちにとって大きな力となるでしょう。輪島塗の復興は、日本の伝統文化を守るためにも重要な課題です。
まとめ:未来への希望を繋ぐ
佳子さまの温かいお心遣いは、被災地の人々に勇気を与え、伝統工芸の未来への希望を繋ぐものとなりました。輪島塗の復興には、多くの困難が待ち受けていることでしょう。しかし、職人たちの情熱と、それを支える人々の力があれば、きっと乗り越えられるはずです。
伝統を守り続ける職人たちの姿を応援し、輪島塗の美しい輝きが再び世界に広がることを願ってやみません。