沖縄県名護市辺野古の米軍基地建設に反対する抗議活動と、それに伴う交通事故問題が深刻化しています。6月に発生した警備員死亡事故を受け、市民団体「沖縄平和市民連絡会」は14日、沖縄県庁を訪れ、幹部職員と面談。抗議活動現場周辺へのガードレール設置を認めないよう、玉城デニー知事宛ての要請書を提出しました。
事故と抗議活動の現状
抗議活動は以前から行われており、牛歩戦術なども用いられています。事業者側は抗議者が事故に巻き込まれることを懸念し、2022年12月以降、県に対しガードレール設置を繰り返し要請。費用負担も申し出ていましたが、県は歩行者の横断制限を理由に認めていませんでした。
抗議活動の様子
6月の事故は、まさにこの抗議活動中の出来事でした。ダンプカーに巻き込まれた警備員の死亡という痛ましい結果を受け、市民団体は安全対策の必要性を改めて訴えています。しかし、その対策としてガードレール設置を求める事業者側と、歩行者通行の安全を優先する県との間で、意見の対立が生じています。
市民団体の主張
市民団体は、ガードレールを設置してもダンプカーの通行量が増えれば事故はさらに増えると主張。特定の事業者や警備員が公道を封鎖し、歩行者の通行を阻止することは許されないと訴えています。彼らは、抗議活動の権利と安全の両立を求めています。
面談では、事故現場付近の国道での歩行者の安全確保について、活発な議論が交わされました。「車道を歩かざるを得ない状況で、警察官からは『車道を歩くな』と言われる矛盾」「歩道を封鎖することが許されるのか」といった市民団体からの切実な声が上がりました。
県庁での面談の様子
交通事故発生件数の疑問
さらに、2018年以降の事故現場付近での交通事故発生件数について、県職員が即答できなかった場面も。市民団体から「なぜそんな重要な情報を答えられないのか」と追及され、緊迫した空気が流れました。市民団体によると、事故は30件以上発生しているとのことです。約45分に及ぶ面談は、双方の主張がぶつかり合う白熱したものとなりました。
県の対応と今後の展望
県土木建築部の前川智宏部長は、ガードレール設置について「道路管理者として適切ではない」との見解を示しました。現在、事故現場では警備員がオレンジ色のネットを広げ、抗議者がダンプカーの前に出ないようにしていますが、根本的な解決には至っていません。
沖縄の基地問題を背景としたこの問題は、抗議活動の権利、地域住民の安全、そして工事の進捗という複雑な要素が絡み合っています。今後の県の対応、そして市民団体と事業者側の動きが注目されます。