共和党のホープとして注目を集めていたエリス・ステファニク下院議員。トランプ次期大統領による国連大使指名が報じられる中、かつてのウクライナ支援の姿勢から変化が見られるとして、波紋が広がっています。jp24h.comでは、彼女の変遷とその背景にある複雑な政治状況を紐解きます。
ウクライナ侵攻当初は強力な支援を表明
2022年、ロシアによるウクライナ侵攻が激化する中、ステファニク議員はウクライナへの強力な支援を訴えていました。ウクライナのNATO加盟を支持し、弾薬や対戦車ミサイルの供与など軍事支援の必要性を強調。ロシアによるウクライナ国民への行為を「ジェノサイド(集団殺害)」と非難し、プーチン大統領を「悪党」「戦争犯罪人」と断じるなど、その姿勢は非常に強硬でした。
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当時の米国では、超党派でウクライナ支援の機運が高まっており、ステファニク議員の発言もその流れを汲むものでした。自身を含む多くの下院議員がロシアの制裁対象となった際には、それを「名誉の印」と表現するなど、その信念の強さが伺えます。
トランプ氏の「力による平和」政策を支持、ウクライナ支援から距離を置く
しかし、ここに来てステファニク氏の姿勢に変化が見られます。報道担当者はCNNの取材に対し、彼女が現在もウクライナのNATO加盟を支持しているかという質問への明確な回答を避け、「ステファニク氏はトランプ氏の『力による平和』政策を全面的に支持し、トランプ氏が率いるウクライナ戦争終結への最善策に賛同する」と述べるにとどまりました。
ロシアによるジェノサイドに関する見解についても、以前のような強い非難は見られず、コメントを避けています。
国境問題を優先、ウクライナ支援法案に反対票
こうした変化の背景には、米国民の間で長引くウクライナ支援への反発が広がっていること、そしてトランプ氏をはじめとする共和党が反対意見を唱えていることが挙げられます。
ステファニク議員もこの流れに同調し、4月にはメキシコ国境問題を優先すべきだとして、ウクライナ支援法案に反対票を投じました。
国連大使就任でウクライナ支援はどうなる?
国連大使就任が確実視される中、ステファニク氏のウクライナ支援に対する立場は、今後の国際社会の動向に大きな影響を与える可能性があります。かつての共和党のホープは、トランプ政権下でどのような外交を展開していくのか、注目が集まっています。
国際政治アナリストの佐藤一郎氏は、「ステファニク氏の変遷は、米国内の政治風土の変化を如実に表している。ウクライナ支援の継続性、そして今後の米ロ関係の行方は、彼女の今後の言動に大きく左右されるだろう」と指摘しています。