死刑制度。それは、犯罪に対する究極の罰であり、日本においては絞首刑によって執行されます。世界的に死刑廃止の流れが進む中、日本は未だに死刑制度を維持しています。だからこそ、私たちは「国が人の命を奪う」という行為の重みに向き合わなければならないのではないでしょうか。本記事では、漫画家・一之瀬はち氏が実際に死刑執行に立ち会った刑務官に取材した漫画『刑務官が明かす死刑の話』を基に、死刑執行の舞台裏に迫ります。
執行に関わる刑務官:選ばれし者たちの条件
alt一之瀬氏は、警察ものや犯罪ものの作品に興味があり、刑務官との出会いを通じて、刑務所内での死刑執行という重責を担う彼らの姿を伝えたいと思ったことが取材のきっかけだったと語っています。
取材を受けたM刑務官は、大学卒業後に刑務官試験に合格し、地方刑務所や拘置支所勤務を経て、現在は某拘置所に勤務しているベテランです。
全国に約1万8000人いる刑務官のうち、執行ボタンを押す刑務官は1回の死刑につき3~5人。近年の執行数は年間平均6~8件であることから、実際に執行に関わる刑務官は全体の0.1%ほどに過ぎません。多くの刑務官は、キャリアの中で死刑執行に関わることなく退職を迎えます。
では、死刑執行に関わる刑務官はどのように選ばれるのでしょうか?M刑務官によると、以下のような厳しい条件が課されているそうです。
死刑執行担当の選定基準
- 死刑設備のある拘置所に勤務していること
- 階級が看守部長以上(ノンキャリアで10年以上の実務経験が必要)
- 精神的に安定していること
- 本人、もしくは配偶者が妊娠していないこと
- 特定の思想や宗教を持たないこと
- 勤務態度が良好であること
これらの条件以外にも、様々な要素が考慮されるとのこと。M刑務官は「これらの条件をクリアできる刑務官は限られています」と語っています。
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死刑執行の重み:向き合うべき現実
死刑執行は、刑務官にとって精神的な負担が大きい任務です。執行に関わる刑務官は、厳格な選定基準をクリアした上で、極秘裏に任務を遂行します。彼らの葛藤や苦悩は想像を絶するものですが、法の執行者としての責任感と使命感を持って職務に臨んでいるのです。
法務省矯正局の元幹部職員であるA氏(仮名)は、「死刑執行は、法に基づいて行われるとはいえ、人の命を奪うという極めて重い行為です。執行に関わる職員は、精神的なケアを含め、十分なサポートが必要です」と指摘しています。
死刑制度については、様々な意見や議論がありますが、私たち一人ひとりがこの問題について真剣に考え、向き合っていく必要があるのではないでしょうか。