宮城県の村井嘉浩知事は13日の定例記者会見で、配偶者の年収が103万円を超えると所得税が課される「年収の壁」の見直しについて、県全体で800億円を超える税収減が見込まれると明らかにしました。住民サービスの低下につながるとして、「私が総理大臣なら反対する」と強い懸念を示しました。
村井知事、年収の壁撤廃に反対の姿勢を明確化
国民民主党が提唱し、与野党で議論が活発化している「年収の壁」撤廃。これに対し村井知事は、「絵空事ではなく、具体的な財源を示すべき」と批判。実現した場合、県と県内35市町村を合わせた減収額が約620億円、地方交付税分を合わせると県全体で810億円もの減収になるとの県の試算を公表し、財政破綻の可能性に強い危機感を示しました。
村井知事記者会見の様子
住民サービス低下への懸念と財源確保の必要性
村井知事は、税収減による住民サービス低下の懸念を表明。「本来住民が受けるべきサービスが受けられなくなる」と指摘し、国債などで財源を賄うことになれば、将来世代への負担増につながると警鐘を鳴らしました。
専門家の声:持続可能な財政運営の観点からも問題
(架空の専門家)地方財政に詳しい青山経済研究所の山田一郎主任研究員は、「年収の壁撤廃は、家計へのプラス効果が期待される一方で、地方自治体の財政への影響は甚大です。持続可能な財政運営の観点からも、慎重な議論が必要です」と指摘しています。
「地に足のついた議論を」 村井知事、国への注文
「年収の壁」撤廃の議論について、村井知事は「何を削ってどこから財源を生み出すのか。絵空事を言うのではなく、地に足がついた具体的な対策や方策を話し合ってほしい」と国に注文をつけました。現状では賛成できないと明言し、財源の裏付けのない政策推進に反対の姿勢を改めて強調しました。
家計への影響と地方財政のバランス
「年収の壁」撤廃は、働く女性にとってメリットがある一方、地方自治体の財政への大きな影響も懸念されています。家計へのプラス効果と地方財政のバランスをどのようにとっていくのか、今後の議論の焦点となるでしょう。
年収の壁イメージ図
まとめ:今後の議論の行方
「年収の壁」撤廃をめぐる議論は、今後ますます活発化していくと予想されます。地方自治体の財政への影響を最小限に抑えつつ、どのように家計を支援していくのか、政府の具体的な対応策が求められます。