日産、過去最大の赤字見通し2000億円 台湾・鴻海とEV協業報道に見る再生の道

日産自動車が、2025年4〜6月期に連結営業損益が約2000億円の赤字転落が見込まれると発表しました。これは多くの市場関係者の予想を上回る深刻な事態です。かつて日本のモータリゼーションを牽引した同社がなぜこのような苦境に陥っているのか、そして日産の今後の再生に向けた課題と可能性を探ります。

深刻な赤字と歴史的背景

日産が株主総会で明らかにした2025年4〜6月期の連結営業損益は、約2000億円の赤字が見込まれ、追加減産により追浜工場の稼働率が2割程度に落ち込むなど、事態は極めて深刻です。この苦境は、90年代初頭のバブル崩壊後の国内販売減少と財務悪化、そしてカルロス・ゴーン氏体制下での強力なコストカットが生んだハイブリッド車開発の遅れといった、過去からの「負の遺産」に深く根差しています。これらの要因が複雑に絡み合い、現在の低迷を招いています。

日産のロゴが入った車両。経営難と再生への取り組みが問われる同社の現状を表す。日産のロゴが入った車両。経営難と再生への取り組みが問われる同社の現状を表す。

再生への鍵:EV戦略と他社連携

今春、エスピノーサ新体制が発足し、すぐに新型電気自動車(EV)「リーフ」を発表しました。しかし、世界のEV市場で競争が激化する中、このタイミングは遅きに失した感があります。そうした状況下で、台湾鴻海(ホンハイ)精密工業とのEV分野での協業検討や、中国低価格EVの輸出拠点とする想定が報じられています。専門家は、この厳しい自動車業界の競争を生き抜くためには、現体制の努力だけでは限界があり、他社との連携M&Aといった選択肢を含めた抜本的な再生戦略こそが、日産に残された唯一の道であると指摘しています。

決断の時:大胆な戦略転換を

日産が直面する約2000億円の赤字見通しと構造的な課題は深刻であり、加速度的に進む電気自動車(EV)へのシフトや競争激化に対応するためには、鴻海のような外部パートナーとの協業や、より広範な他社との連携、さらにはM&Aも視野に入れた大胆な戦略転換が不可欠です。エスピノーサ新体制には、短期的な対策にとどまらない、抜本的な再生に向けた迅速かつ決定的な判断が強く求められています。