日中関係の行方が注目される中、11月15日にペルーのリマで、石破茂首相と中国の習近平国家主席が会談を行いました。本記事では、会談の内容と今後の日中関係について掘り下げて解説します。
習近平主席、石破首相の姿勢を「称賛」
会談で習近平主席は、石破首相が表明した「戦略的互恵関係の包括的な推進」の維持を「称賛する」と述べました。これは、中国側が石破政権に一定の期待を寄せていることを示唆しています。
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前政権である岸田政権は、米国との連携を強化し、中国への圧力を強めていました。この姿勢に中国側は不満を抱いており、日米摩擦の要因となりうる日米地位協定の見直しを主張する石破首相の姿勢は、中国にとって好都合と捉えられています。
また、石破首相は靖国神社参拝に慎重な姿勢を示すなど、歴史問題においても中国に融和的な立場を取っているとされています。北京の外交筋は、「習政権は『米国べったり』とみなしていた岸田前首相よりも石破首相とは話ができると考えているようだ」と分析しています。
米国新政権発足を前に、中国は関係改善を急ぐ
トランプ氏の次期大統領就任を控え、中国は米国の同盟国との関係改善を急いでいます。これは、米国主導の「対中包囲網」を切り崩す狙いがあると見られています。石破政権の発足を機に、中国は対日関係の安定化も図りたい考えです。
習主席は会談で、日中両国が「アジアと世界において重要な国家」であるとの認識を示し、「両国関係は二国間関係を上回る重要な意義を備えている」と強調しました。国際政治学者である山田教授(仮名)は、「中国は経済成長の鈍化や地政学的なリスクの高まりから、周辺国との関係改善を重視している」と指摘しています。
日中関係改善への課題は山積
一方で、日中関係には依然として多くの課題が残されています。広東省深圳市での日本人男児刺殺事件や、反スパイ法に基づく日本人拘束など、両国間の不信感を増幅させる事件も発生しています。
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さらに、中国国内に根強く残る反日感情も無視できません。これらの課題を克服し、真の日中関係の改善を実現するためには、両国間の継続的な対話と相互理解が不可欠です。 今後の日中関係の動向に、引き続き注目が集まります。