地中海を舞台に繰り広げられた古代文明のドラマ、メソポタミア、エジプト、ギリシア、そしてローマ。4000年にも及ぶ壮大な歴史を、古代ローマ史研究の第一人者である東京大学名誉教授・本村凌二氏の視点から紐解く「地中海世界の歴史」全8巻をご紹介します。重版を重ねる人気シリーズの魅力を、深く掘り下げて見ていきましょう。
東西文明の源流、地中海世界とは?
古代ローマの遺跡、コロッセオ
従来、ヨーロッパ文明の起源はギリシア・ローマ文明とされ、オリエント文明との関連性は軽視されてきました。しかし、本村氏は、ユーラシア大陸の東に位置する私たちの視点から見れば、オリエント文明とギリシア・ローマ文明は密接に繋がっていると主張します。
メソポタミア、バビロンの遺跡
「地中海世界」とは、単に地中海沿岸地域を指すのではなく、メソポタミア、エジプト、ペルシア、ギリシア、そしてローマに至る広大な文明圏を指します。本シリーズでは、これらの文明を総称して「地中海文明」と捉え、その4000年の歴史を壮大なスケールで描いています。
ローマ帝国を基点とした新たな視点
本村氏は、古代ローマ史研究の第一人者でありながら、メソポタミアやエジプト、古代ギリシアは専門外です。しかし、あえて一人で全8巻を執筆することで、ローマ帝国という地中海世界の覇者から見た独自の視点で、オリエントやギリシアを新たな解釈で捉え直すことに成功しました。
文明の二大源流、「地中海世界」と「東アジア世界」
本村氏は、世界に存在する様々な古代文明の中で、現在の中国を中心とした「東アジア世界」と、メソポタミアからローマまでを包括する「地中海世界」を、文明の二大源流と捉えています。文字、経済活動、宗教、思想など、この二つの文明が後世に与えた影響は計り知れません。
地中海文明は、ローマ帝国の分裂と共に解体し、東西ヨーロッパ世界とイスラム世界へと再編されていきます。つまり、地中海文明はヨーロッパの源流であると同時に、現在のイスラム圏の源流でもあるのです。現代の欧米と中東、ユーラシア大陸西側の歴史を深く理解するためにも、「地中海世界」という視点が不可欠と言えるでしょう。
地中海世界の歴史を紐解く旅へ
「地中海世界の歴史」全8巻は、古代文明の壮大な歴史を新たな視点で読み解く、歴史ファン必読のシリーズです。本村氏の深い洞察力と壮大なスケール感に触れ、地中海世界を巡る知的冒険に出かけてみませんか?
新たな歴史観への扉を開く
古代文明の興亡、そして現代世界への影響。「地中海世界の歴史」は、私たちに新たな歴史観を与えてくれるでしょう。ぜひ、この壮大な歴史の旅を体験してみてください。