韓国の野党「共に民主党」の李在明代表に公職選挙法違反で懲役1年、執行猶予2年の有罪判決が下されたことを受け、民主党は裁判所を強く非難し、司法府との対立姿勢を鮮明にしています。この判決は、韓国政界にさらなる波紋を広げ、今後の政治状況を大きく左右するものと見られています。
民主党、判決を「政治判決」と断罪、司法府への全面対決姿勢
民主党は判決直後から、これを「法理的にも事実的にも認められない」とし、「狂った政権の狂った判決」(朴賛大院内代表)、「政敵除去のための政治判決」(検察独裁対策委員会)などと裁判所を強く批判しています。金潤徳事務総長は判決の矛盾点を指摘し、裁判証拠資料の一部をメディアに配布するなど、判決の不当性を訴えるための積極的な情報発信も行っています。
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民主党は、李代表に対する一連の裁判(選挙法違反、偽証教唆、大庄洞開発不正、北への送金疑惑)の中で、最も軽いと思われていた選挙法違反で有罪判決が出たことに強い危機感を抱いています。今後の裁判でさらに厳しい判決が下される可能性を懸念し、党内結束を呼びかけています。
司法府との対立激化、今後の政局に大きな影響
検察に続き、司法府までも敵に回す民主党の戦略は、党内結束を強める一方、中道層からの支持を失う可能性も指摘されています。徳成女子大学のチョ・ジマン教授は、「司法への圧力は支持層の結集にはつながるものの、中道層の支持獲得を目指す民主党にとって長期的に見てプラスにはならない」と分析しています。
韓国外国語大学のイ・ジェムク教授も、「民主党にとって重要なのは2027年の大統領選挙での勝利だが、党内結束を優先するあまり、国民の政治不信を招き、政権獲得から遠ざかる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
民主党内では、李代表の求心力が高まる一方で、党内における反対意見が抑圧され、多様な意見が反映されにくくなっているとの懸念も出ています。
検察独裁対策委員会のパク・ギュンテク委員長は、判決前の予測不足を指摘する声に対し、「有罪を前提とした議論はしておらず、このような判決を予測することは不可能だった」と反論しました。しかし、党内では、有罪判決の可能性について議論すること自体がタブーとされていたことが、結果的に衝撃を大きくしたとの見方も出ています。
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民主党の今後の戦略、政界再編の可能性も
李代表への有罪判決は、今後の韓国政界の勢力図を大きく塗り替える可能性を秘めています。民主党は、司法府との対立を深めるのか、あるいは戦略を転換するのか、難しい選択を迫られています。今後の民主党の動向は、韓国政治の行方を左右する重要なカギとなるでしょう。
非主流派からは、「李代表擁護一辺倒の戦略が今後通用するのか、真剣に考えるべき時だ」との声も上がっています。今回の判決を機に、民主党内の路線対立が表面化する可能性も否定できません。