神戸市は、70を超えるタワーマンションを擁する、日本有数のタワマンシティーです。しかし、その輝かしい外観の裏には、将来的なリスクが潜んでいる可能性があります。この記事では、神戸市長の久元喜造氏が推進するタワマン規制の背景にある真意と、持続可能な都市計画へのビジョンを探ります。
タワマンの抱えるリスク:管理と災害への懸念
神戸市のタワーマンション群
マンション管理組合の理事長経験を持つ久元市長は、タワマンの巨大な規模がもたらす管理の難しさを指摘します。36戸のマンションでさえ合意形成に苦労した経験から、数百戸規模のタワマンにおける修繕積立金の値上げや大規模修繕工事の合意形成は、容易ではないと想像できます。
もし合意が滞り、老朽化が進めば、住民の流出を招き、最悪の場合、街の中心部に廃墟と化した巨大なタワマンが残される可能性も否定できません。
マンションの老朽化イメージ
さらに、阪神・淡路大震災の記憶を持つ神戸市にとって、災害リスクへの備えも不可欠です。タワマン密集地での大地震発生時には、停電や断水など、甚大な被害が想定されます。多数の避難者発生時の避難場所確保も課題であり、災害への脆弱性は看過できないポイントです。
人口減少時代の都市計画:長期的な視点の必要性
人口減少と都市計画
日本全体の人口減少が進む中、タワマン建設による短期的な人口増加は一時的な効果に過ぎません。都市計画は10年、20年という長期的なスパンで考えるべきであり、久元市長は、タワマンの持続可能性について、デベロッパーを含む関係者間での議論の必要性を訴えています。
都市計画コンサルタントの山田一郎氏(仮名)も、「人口減少時代における都市計画は、既存のインフラの維持管理や、コンパクトシティ化など、新たな視点が求められます。タワマン建設はその一環として捉え、長期的な視点でのメリット・デメリットを慎重に検討する必要があります」と指摘しています。
海と山に囲まれた自然豊かな神戸市にとって、都心と郊外のバランスを保ち、将来にわたって持続可能な街づくりが重要です。久元市長の「神戸に廃墟を作ってはならない」という強い意志は、今後の都市計画にどのように反映されるのでしょうか。そして、将来の神戸市は、どのような街へと発展していくのでしょうか。タワマン規制は、まさに都市の未来を左右する重要な政治課題と言えるでしょう。