中国湖南省でまたしても痛ましい事件が発生しました。11月19日朝、小学校前で車が児童らをはね、複数の児童が負傷、病院に搬送されました。広東省の無差別殺傷事件からわずか数日後の出来事であり、中国社会に衝撃が走っています。今回の事件は、中国社会の根深い問題を浮き彫りにしていると言えるでしょう。
繰り返される悲劇:中国社会の闇
習近平国家主席は広東省の事件を受け、異例の早さで治安対策の徹底を指示しました。さらに広東省当局は、「8つの『喪失者』」と定義される、職を失った人、人生に失意を抱える人、人間関係に問題を抱える人、精神的に不安定な人などを重点的に監視するよう指示を出しました。しかし、このような締め付け強化にもかかわらず、今回の事件が発生したことは、中国社会の不安定さを示しています。
小学校前で起きた事件の様子。複数の児童が負傷したと報じられている。
「社会への報復」:SNSで囁かれる不安
地元警察は39歳の男を拘束し、取り調べを行っていますが、動機については明らかにしていません。一方で、中国のSNS上では「社会への報復」という言葉が注目を集めています。今回の事件直後にも、「最近、同様の事件が多すぎる。社会への報復なのか?」「不公平な社会への報復が原因だ」といった声が多数上がりました。
習近平国家主席は治安対策の徹底を指示したが、事件は後を絶たない。
監視社会の限界:中国式治安対策の行き詰まり
中国政府は「世界で一番安全な国」と主張していますが、その安全は監視カメラの設置や携帯電話の情報監視といった強権的な手法に基づいています。しかし、今回の事件のように、犯人が逃げる意思を持たず、自暴自棄になって社会への不満を爆発させるケースでは、従来の監視による抑止は効果を発揮しません。
中国のSNSでは「社会への報復」という言葉が拡散している。
中国社会の未来:不安と課題
中国社会における無差別殺傷事件の増加は、社会の不安定さを象徴しています。監視強化だけでは根本的な解決には至らず、社会の不満や格差への対策が急務となっています。今後の中国社会の動向に注目が集まります。