米南部で発生した未確認飛行物体、その正体は非常に明るい隕石だった。6月27日昼ごろ(現地時間)、アメリカ南部の広範囲で明るい火球が目撃され、住民からは爆発音のような報告が相次いだ。ジョージア州やサウスカロライナ州を中心に、アラバマ州、ノースカロライナ州、フロリダ州、テネシー州などからも報告があり、その数は200件以上にのぼったという。多くの住民はSNSなどで「爆発音のようなソニックブーム」を聞いたと投稿している。
米南部ジョージア州上空で昼間に観測された火球(ボライド)の様子
NASAによる「火球」の正体特定
アメリカ航空宇宙局(NASA)はこの火球現象について、「非常に明るい隕石(ボライド)」であったと発表した。大きさは買い物カートほどと推定されており、ジョージア州オックスフォード上空で観測された後、南西に移動しながらジョージア州ウェストフォレストの上空で空中分解し、「TNT火薬20トン相当のエネルギー」を放出したとされる。NASAは、隕石の破片が地上に到達した可能性が高いとし、ジョージア州ブラックスビル周辺に多数の隕石が落下したとみている。
家屋への被害報告と目撃証言
特に注目されたのは、ジョージア州ヘンリー郡で報告された家屋への被害だ。ABC Newsによると、ある住民は、爆音と同時に「岩のような物体が屋根を突き破った」と通報。天井にはゴルフボールほどの穴が開き、床のひび割れも確認された。地元気象局は隕石の一部が落下した可能性として調査を進めている。
現地ではドライブレコーダーやインターホンのカメラにも火球が映っており、急角度で地上に落ちていく様子が各地で記録された。アメリカ隕石協会には、目撃者から「太陽より明るかった」「煙の尾を引いて消えた」といった詳細な目撃情報が多数寄せられている。
昼間の「火球」観測は極めて珍しい
NASAによると、隕石や宇宙ゴミの大気圏突入は日常的に発生しているが、真昼間にこれほど明るく観測されるのは極めて珍しいという。隕石は大気との摩擦により光を放ち、減速しながら燃え尽きていくが、今回のように一部が地表に到達するケースはごくまれである。
参考文献
- AP通信
- ABC News
- NASA
- アメリカ隕石協会