韓国の医療体制が危機的状況に陥っている。救急患者のたらい回し、医師不足の深刻化など、医療現場の疲弊は日に日に増している。本記事では、韓国の医療危機の実態と背景にある問題点を探る。
深刻化する医師不足:現場の声
2024年9月、ソウル市内のクリニックで医師から告げられた言葉は衝撃的だった。「今、韓国では医療がひっ迫しています」。生後2ヶ月の乳児の予防接種のために訪れたクリニックで、医療崩壊の現実を突きつけられた。医療先進国として知られる韓国で、一体何が起きているのだろうか。
alt
韓国の救急医療の要である議政府聖母病院の外傷センター。救急搬送される患者が後を絶たない中、深刻な医師不足が現場を苦しめている。救急外来の待合室は患者で溢れかえり、救急車もひっきりなしに到着する。バイク事故で意識不明の重体となった男性は、受け入れ先の病院が見つからず、30分以上かけて搬送されてきた。
取材に応じたチョ・ハンジュ医師は「救急体制は崩壊した」と嘆く。重傷患者に対応する外傷センターでさえ、当直の医師はチョ医師ただ一人。研修医の数は100人からわずか3人にまで減少しているという。
韓国では、救急患者のたらい回しによる悲劇も発生している。2024年9月、釜山市で痙攣を起こした30代女性が、92回もの病院への連絡にも関わらず受け入れ先が見つからず、搬送中に死亡したケースが報じられた。
医療改革が生んだ歪み:医師不足の背景
韓国政府が進める医療改革が、皮肉にも医師不足を招いているという指摘もある。医療費抑制や医師の待遇改善などを目指した改革だが、現場の医師からは「改革によって医師の負担が増加し、離職につながっている」との声も上がっている。
韓国医療政策研究所のキム・ヨンチョル氏(仮名)は「政府の医療改革は、現場の実態を十分に考慮していない」と指摘する。医療現場の声を聞き入れ、現実的な対策を講じる必要があるだろう。
未来への展望:韓国医療はどこへ向かうのか
韓国の医療危機は、医師不足だけでなく、医療制度全体の課題を浮き彫りにしている。医療崩壊を防ぐためには、政府、医療機関、そして国民一人ひとりが現状を正しく認識し、協力して解決策を探っていく必要がある。
alt
韓国の医療の未来は、今まさに岐路に立たされている。