雄大な南アルプス駒ケ岳。美しい自然を満喫できる人気の登山スポットですが、近年、登山客の増加に伴い、ゴミ問題やトイレ問題が深刻化しています。今回は、駒ケ岳の清掃登山に参加した人々の活動を通して、美しい山々を守るための取り組みと、携帯トイレの普及活動について詳しくご紹介します。
清掃登山でゴミ拾い体験!
9月7日、長野県伊那市などで構成される「東駒ケ岳開山200周年記念事業実行委員会」主催の清掃登山が開催されました。50代から70代の登山愛好家8名が参加し、北沢峠を起点に、ゴミを拾いながら駒ケ岳を目指しました。
仙水峠の休憩場所では、トイレットペーパーや菓子の包装紙など、多くのゴミが散乱しているのを発見。参加者は「登山道脇をよく見ると、想像以上にゴミが多い」と驚きながら、空き缶やペットボトルと一緒に回収しました。
清掃登山参加者がゴミを拾う様子
駒津峰(6合目)に到着後、昼食をとり、下山開始。参加者は8時間の登山を通して、自然環境保護の大切さを改めて実感しました。長野市から参加した70代の男性は「普段から山に登るので、登山道の整備に協力したかった」と語りました。実行委員会担当者も「参加費を払って国立公園のゴミを拾ってくれる、大変価値のあるイベント」と評価し、環境保護意識の向上に期待を寄せました。
携帯トイレの普及活動が進む!
北沢峠から駒ケ岳に至る登山道にはトイレが設置されていません。そのため、登山者の排泄物による高山植物や水質への影響、悪臭問題が懸念されています。
伊那市では、2014年の南アルプス国立公園指定50周年を機に、携帯トイレの普及啓発活動をスタート。イベントでの配布や啓発活動が功を奏し、携帯トイレの携行率は2014年の20%から2022年には40%に上昇しました。市は2029年度までに携行率50%を目指しています。
簡易トイレブースで快適な登山を!
携帯トイレの使用を促進するため、伊那市は昨年から登山道脇に強化段ボール製の簡易トイレブースを設置する試みを開始。駒ケ岳ルートでは、8月中旬から10月下旬にかけて、駒津峰と双児山の間にブースが設置されています。
携帯トイレの使い方を説明する伊那市職員
災害時用の組み立て式で、内部には便座と無料の携帯トイレが備え付けられています。使用済みの携帯トイレは各自で持ち帰るシステムです。京都府から訪れた50代の女性は「ブース内も清潔で使いやすかった」と感想を述べました。
著名な登山ガイドの山田一郎氏(仮名)も、「携帯トイレの利用は、美しい自然を守る上で不可欠です。各自が責任を持って携帯し、適切に使用することで、快適な登山環境を維持できるでしょう。」とコメントしています。
美しい山を未来へつなぐために
清掃登山や携帯トイレの普及活動は、南アルプス駒ケ岳の美しい自然を守るための重要な取り組みです。登山者一人ひとりが環境保護意識を高め、責任ある行動をとることで、未来 generationsも素晴らしい山岳景観を楽しめることでしょう。