アゼルバイジャン・バクーで開催中の国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)は途上国の地球温暖化対策の資金(気候資金)などを巡って協議が難航し、22日までの予定だった会期を延長して23日も厳しい交渉が続いた。
COP29は「ファイナンス(資金)COP」とも呼ばれ、2025年以降の資金調達の方向性が最大の焦点だった。再生可能エネルギーの導入など温室効果ガス排出削減策に加え、気候変動の悪影響を軽減するため、途上国側の資金需要は拡大している。資金の目標額は現行の「年1000億ドル(約15兆5000億円)」を下限とすることは決まっており、金額をどこまで引き上げるか、ドナー(出し手)に中国など新興国、産油国も巻き込めるかが注目されていた。
議長国が22日に公表した成果文書の草案は、先進国が主導する分の目標額を「35年までに年2500億ドル(約38兆7500億円)」とし、中国など新興国からの自主的な拠出も想定した内容だった。また、世界全体で途上国向けの資金を増やすため、35年までに官民で少なくとも年1兆3000億ドル(約200兆円)まで拡大させることを目指し、全ての関係者に協力を呼びかけるとした。
この草案に対し、途上国側からは先進国が拠出する目標額などへの不満が相次いだ。気候変動による悪影響に特に脆弱(ぜいじゃく)な島国のグループ「小島しょ国連合」は、提案された金額について「深く失望している。対策を著しく停滞させる内容だ」と反発した。
また、22日夜には環境活動家約50人が草案の内容が途上国の求める内容とかけ離れているとして、無言で両腕を頭の上を組み、反対の意を示すデモを実施した。インド出身の環境活動家、キルタナ・チャンドラセカランさんは「途上国が実際に必要としている金額や内容とはかけ離れている。途上国の人々が温暖化に強く立ち向かうことができるよう、私たちは最後まで支援していく」と語った。【バクー山口智】