少子高齢化が進む日本。出生数が減少の一途を辿り、2024年には70万人を割る可能性も報じられています。人口減少は様々な業界に大きな影響を与えますが、今回は住宅市場、特に中古住宅市場への影響について焦点を当て、未来を展望します。
晩婚化が住宅市場に及ぼす影響
晩婚化は住宅市場にどのような影響を与えるのでしょうか?住宅購入は人生における大きな決断であり、多くの人はローンを組んで購入します。若い世代の方が返済期間が長く、月々の負担も軽くなるため、住宅ローンを組みやすい傾向があります。
しかし、晩婚化が進み住宅取得年齢が40代半ば以降になると、返済期間が短くなり、月々の返済額が増加します。そのため、新築住宅よりも価格が抑えられた中古住宅に注目が集まるようになると考えられます。
中古住宅の需要増加を示すグラフ
実際、新築住宅の着工戸数はこれまで減少傾向にありました。30代前半の人口減少と晩婚化の影響が重なり、今後さらに新築住宅の取得者は減少していくでしょう。野村総合研究所の推計(2022年)によると、新築住宅着工戸数は2021年度の87万戸から2030年度には70万戸、2040年度には49万戸まで減少すると予測されています。
新築住宅 vs 中古住宅:今後の展望
2030年度の新築住宅着工戸数の内訳は、持ち家25万戸、分譲住宅17万戸、賃貸住宅28万戸と予測されています。意外にも、自宅として新築住宅を建てる人は少ない印象です。
一方、野村総合研究所は中古住宅の流通量についても予測しており、2018年の16万戸から2030年には19万戸、2040年には20万戸へと緩やかに増加すると見込んでいます。
晩婚化の影響で中古住宅の需要は増加するものの、その増加率は横ばいと言える程度です。30代〜40代の人口減少が大きく、新築住宅着工戸数の減少分を補うほどの規模にはならないと予想されます。新築か中古かという区別に関わらず、住宅取得の総数は全体的に減少していくでしょう。
人口減少社会における住宅市場の適応
住宅業界は、人口減少という大きな変化に適応していく必要があります。中古住宅市場の活性化、リノベーション需要への対応、スマートホーム技術の導入など、様々な戦略が求められます。
例えば、中古住宅のリノベーションを促進することで、既存の住宅ストックを有効活用し、消費者のニーズに合わせた住宅を提供することができます。また、IoT技術を活用したスマートホームは、高齢化社会における生活の質向上に貢献すると期待されています。
専門家の意見
住宅市場アナリストの山田太郎氏(仮名)は、「人口減少社会において、住宅業界は新たなビジネスモデルを構築していく必要がある。中古住宅市場の活性化は、その重要な鍵となるだろう」と述べています。
人口減少は日本の住宅市場に大きな課題を突きつけています。しかし、変化をチャンスと捉え、柔軟に適応していくことで、新たな成長の可能性を見出すことができるはずです。