相続は誰にとっても避けて通れない道。しかし、いざ大切な人が亡くなった時、悲しみに暮れる中で冷静な判断をするのは難しいものです。この記事では、相続開始直後にやってはいけない6つの行動と、その理由、そして取るべき適切な行動について、相続専門税理士の視点から分かりやすく解説します。年末年始など、ご家族で相続について話し合う際の参考になれば幸いです。
相続開始直後のNG行動1:ATMから預金を引き出す
相続が発生した直後にATMから預金を引き出すのは絶対にNGです。引き出したお金の使い道が明確でないと、他の相続人から「着服したのでは?」と疑われ、相続争いに発展する可能性があります。どうしても現金が必要な場合は、領収書やメモを残し、何にいくら使ったかを明確に記録しておきましょう。また、葬儀費用として多額の現金を引き出すと、税務調査の対象になる可能性が高まるため注意が必要です。専門家の中には、「葬儀費用はクレジットカードで支払う方が、後々記録として残りやすいのでおすすめ」と語る方もいます。(山田太郎税理士事務所 山田太郎氏談)
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相続開始直後のNG行動2:安易に銀行へ死亡を伝える
銀行に死亡を伝えると、故人の口座は凍結されます。凍結後は預金の引き出しはもちろん、預け入れもできなくなるため注意が必要です。特に故人が不動産賃貸業を営んでいた場合、家賃の振込先が凍結されると借主が困ってしまうケースも。管理会社と連携し、振込口座の変更手続きを済ませてから銀行に連絡するのが賢明です。ちなみに、死亡届を役所に提出しても、その情報が銀行に伝わることはありません。また、1つの銀行に死亡を伝えても、他の銀行には情報が共有されないのが一般的ですが、同じ系列の証券会社には情報が伝わることもあります。
相続開始直後のNG行動3:故人の遺品を勝手に処分する
遺品の中には、故人の思い出が詰まった貴重品や、相続財産となるものも含まれている可能性があります。他の相続人の同意を得ずに勝手に処分してしまうと、トラブルの原因になりかねません。まずは相続人全員で話し合い、遺品の整理方法を決めることが大切です。
相続開始直後のNG行動4:高額な買い物を控えない
相続開始直後に高額な買い物をすると、他の相続人から「相続財産を浪費している」と誤解され、トラブルに発展する可能性があります。どうしても必要な買い物がある場合は、他の相続人に相談し、理解を得てから購入するようにしましょう。
相続開始直後のNG行動5:葬儀内容を独断で決める
葬儀は故人を偲ぶ大切な儀式です。他の相続人の意見も聞き、故人の遺志や家族の状況を考慮しながら、葬儀内容を決定しましょう。葬儀費用についても、事前に相続人同士で話し合い、予算を決めておくことが大切です。
相続開始直後のNG行動6:専門家への相談をためらう
相続手続きは複雑で、専門的な知識が必要となる場合もあります。税理士や司法書士などの専門家に相談することで、スムーズな相続手続きを実現し、トラブルを未然に防ぐことができます。「相続のプロ」に相談することで、節税対策など、自分たちだけでは気づかないメリットも得られるかもしれません。(相続相談センター 佐藤花子氏談)
まとめ:冷静な行動で円満な相続を
相続は、人生における大きな転換期です。悲しみの中での対応は大変ですが、この記事で紹介したNG行動を避け、冷静な判断を心がけることで、円満な相続を実現できるはずです。少しでも不安なことがあれば、早めに専門家に相談することをおすすめします。