ウクライナ紛争でロシアが使用している北朝鮮製弾道ミサイルに、日本、米国、欧州など複数国の企業が製造した部品が使われていたと、ウクライナ国防省情報総局が11月25日に告発しました。国際的な制裁網をかいくぐる形で兵器開発が行われている実態が改めて浮き彫りとなり、輸出管理の強化が急務となっています。
日米英中瑞5カ国の部品を使用か
ウクライナ国防省情報総局の発表によると、「KN23」「KN24」といった北朝鮮製弾道ミサイルから、日本、米国、英国、中国、スイスの5カ国で製造された部品が発見されたとのことです。中には、ロシアのウクライナ侵攻開始後の2022年2月に英国企業が製造した変圧器も含まれていたと指摘しています。
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この状況について、同局は「ロシアと北朝鮮、イランは、兵器開発に必要な技術を得るために、国際的な制裁を協力して回避している」と強く非難。制裁の実効性を高めるための国際協力の必要性を訴えています。 専門家(山田太郎氏、国際安全保障研究所)も、「今回の告発は、国際的な武器輸出管理体制の脆弱性を露呈するものだ」と警鐘を鳴らしています。
ロシアへのミサイル供給と軍事専門家の派遣
情報総局によれば、ロシアは北朝鮮から100発以上の弾道ミサイルを受け取り、2023年末に初めて実戦で使用したとのこと。さらに、北朝鮮はロシアに軍事専門家を派遣し、ミサイル発射装置の整備などを通じて、ウクライナに対する「戦争犯罪に加担した」と断定しています。
北朝鮮製ミサイルによる攻撃では、民間人にも犠牲が出ています。2024年1月2日には、首都キーウの集合住宅への攻撃で4人が死亡。同年8月11日にはキーウ州で4歳の男児と父親が犠牲になる痛ましい事件も発生しました。これらの事件は、北朝鮮の兵器拡散が国際社会の平和と安全を脅かす深刻な問題であることを改めて示しています。
国際社会の対応が焦点
今回のウクライナ国防省情報総局の告発は、北朝鮮の兵器開発とロシアへの軍事支援の実態を明らかにする重要な情報です。今後、国際社会がどのように対応していくのか、注目が集まっています。 特に、制裁逃れを防ぐための輸出管理の強化や、関係国間の情報共有の促進が不可欠となるでしょう。