ウクライナ紛争の最新情報をお届けします。11月25日、ウクライナ軍が米国から供与されたATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)を用いて、ロシア領内のハリノ空軍基地を攻撃したと報じられました。今回の攻撃の背景、被害状況、そして今後の影響について、詳しく解説していきます。
ATACMSによるハリノ空軍基地攻撃の真相
ウクライナ軍は、国境から約96キロ離れたロシア・クルスク州のハリノ空軍基地に対し、ATACMSによる攻撃を実施しました。軍事専門メディア「ウォーゾーン」やロシア独立系メディア「アストラ」などの報道によると、ATACMSミサイル7発と無人機12機が動員されたとされています。
ハリノ空軍基地で発見されたATACMSの残骸
ウクライナ軍参謀本部はクルスクの複数の目標への攻撃を認めたものの、具体的な詳細については明らかにしていません。一方、ロシア国防省はクルスク上空で無人機7機を撃墜したと主張していますが、具体的な撃墜場所は公開されていません。情報の錯綜する中、様々な憶測が飛び交っています。
SNSで拡散される攻撃の瞬間
ソーシャルメディア上では、ATACMSから発射された小型爆弾が空軍基地を襲う様子を捉えた動画や写真が拡散されています。爆発音や空襲警報のサイレンが響き渡る様子も確認され、攻撃の激しさを物語っています。ロシアの軍事情報チャンネル「ミリタリー・インフォマント」は、ATACMSのクラスター弾頭から発射されたM74小型爆弾が空軍基地内で爆発したと伝えています。
ハリノ空軍基地の被害状況とロシアの反応
「ウォーゾーン」が入手した衛星写真からは、ハリノ空軍基地に深刻な被害は確認されていない模様です。しかし、基地の主要区域は隠蔽されているため、正確な被害規模の把握は困難です。ハリノ空軍基地は2022年12月にもウクライナのドローン攻撃を受けており、主要作戦基地としての機能は既に失われていたとみられています。しかし、「ウォーゾーン」は、入手した衛星画像から、ロシアがこの施設を弾薬貯蔵に使用している可能性を指摘しています。
攻撃を受けるハリノ空軍基地
ロシア国防省は、ウクライナ軍によるATACMSを用いたロシア本土への攻撃を2回確認したとして、報復措置を警告しています。軍事施設への被害と人命被害が発生したと主張し、事態を深刻に受け止めていることが伺えます。
米国のロシア本土攻撃制限解除とウクライナのATACMS使用
米国は11月17日、ロシアのウクライナ侵攻から1000日目となる節目に、米国製長距離打撃兵器のロシア本土攻撃制限を解除しました。そのわずか2日後の19日、ウクライナはATACMSを用いてロシアのブリャンスク地方にある弾薬貯蔵施設を攻撃しています。今回のハリノ空軍基地への攻撃は、米国による制限解除後の2度目のATACMS使用となります。
ATACMSの性能と今後の紛争への影響
ATACMSは最大射程305キロメートルを誇る長距離ミサイルです。ウクライナに供与されたATACMSは集束弾頭を搭載しており、数百発の子弾を地上にばらまくことで広範囲の攻撃を可能とします。米当局者によると、ATACMSの弾頭には約950発の子弾が含まれているとされています。
今回の攻撃は、ウクライナ紛争の新たな局面を示唆するものと言えるでしょう。ロシアへの反転攻勢を強めるウクライナと、報復を警告するロシア。今後の両国の動向に、世界中の注目が集まっています。軍事アナリストの田中一郎氏は「ATACMSの使用は、紛争のエスカレーションにつながる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
まとめ:緊迫するウクライナ情勢
ウクライナ軍によるATACMSを用いたロシア空軍基地への攻撃は、紛争の激化を予感させる出来事です。今後の情勢を注視していく必要があります。