エヌビディアの2024年の第3四半期の決算は予測を上回ったものの、アナリストたちが出していた最も高い予測には届かなかった。
【全画像をみる】ウォール街、エヌビディアの目標株価をさらに引き上げ…競争力や自社株買いを材料に
それでも、ウォール街のアナリストたちは引き続きエヌビディアの株価に対して非常に強気であり、目標株価を大きく引き上げている。
自社株買い戻しの可能性やその競争力は、アナリストたちのエヌビディア株への信頼を高めている。
2024年11月20日、エヌビディア(Nvidia)は期待が高まっていた2024年第3四半期(8月から10月)の決算を報告し、ウォール街の投資家やアナリストを試すような状況を作り出した。
エヌビディアは収益と利益においてアナリストの平均予想を上回ったものの、最も高い期待値には届かなかった。また2024年第4四半期の収益予想もこれまでの四半期と比べて、市場の期待を大きく超えるものでもなく控えめな内容にとどまった。
それにもかかわらず、ウォール街はエヌビディアの2024年第3四半期の決算結果に感銘を受け、同社の次世代GPU「ブラックウェル(Blackwell)」の発売による将来的な売上増加を20社以上のアナリストたちは予測し、株価目標の引き上げが行われた。
JPモルガン(JPMorgan)はエヌビディアの株価目標を155ドルから170ドルに引き上げ、エヌビディアが事業に対して大きな競争上の堀(障壁)を築いていることを強調した。
JPモルガンのアナリストであるハーラン・サー(Harlan Sur)は2024年11月21日、次のように記している。
「エヌビディアのチームは、シリコン、ハードウェア、ソフトウェアのプラットフォームと強力なエコシステムにおいて競合他社よりも1、2歩リードし続けている。また新製品の発売を積極的に行い、製品の細分化を進めていくことでさらに競争相手と差をつけている」
ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)は、エヌビディアの2025年の売上高が2000億ドル(約31兆円)を超えると予想し、目標株価を150ドルから165ドルに引き上げた。
さらにゴールドマン・サックスは、今後の株価を押し上げるための秘策として、エヌビディアは大規模な自社株買いのプログラムを用意していることを強調した。
エヌビディアが2024年の第3四半期に行った自社株買いの金額の110億ドル(約1兆7050億円)は、前年同期と比較して188%増加したと報告されている。ゴールドマンは、エヌビディアは今後「株式の買い戻しを段階的に増加させる」と予測しており、2026年までに累計で1810億ドル(約28兆550億円)に達するという予測を示している。
「これは大量の現金が湧き出ているかのようだ」と、 リサーチ・データ分析会社メリアス・リサーチ(Melius Research)のマネージングディレクターであるベン・ライトゼス(Ben Reitzes)は2024年11月21日にCNBCに対して語った。
「いずれにしても、エヌビディアはもっと株式を買い戻さなければならない。なぜなら現金の使い道がもうないからだ」
証券会社ローゼンブラット・セキュリティーズ(Rosenblatt Securities)はエヌビディア株に対し、ウォール街で最も高い株価目標を維持しており、エヌビディアの目標株価を前回の200ドルから220ドルに引き上げている。これは2024年11月21日朝の株価から52%の上昇する余地があることを意味している。
評価額に関する懸念からエヌビディアを「ニュートラル(中立)」と評価していた投資銀行DAデビッドソン(D.A.Davidson)でさえ、株価目標を90ドルから135ドルに引き上げている。
「(エヌビディアの)経営陣は、次の四半期(2024年第4四半期)以降のブラックウェルに関して多くの詳細を明かしていないが、GPUアーキテクチャHopper (ホッパー)の生産拡大時に直面した時のように、需要が非常に高まるものの、部品供給や生産能力が追いつかない可能性がある」と、DAデビッドソンのアナリストであるギル・ルリア(Gil Luria)はレポートに記している。
Matthew Fox