能登半島地震から1年:和倉温泉、復興への道のり

能登半島地震から1年が経とうとしていますが、かつて北陸随一の温泉街として栄えた石川県七尾市の和倉温泉は、未だ復興の途上にあります。美しい七尾湾に面した風光明媚なこの温泉地は、地震によって壊滅的な被害を受け、その再生への道のりは長く険しいものとなっています。この記事では、和倉温泉の現状と復興への取り組み、そして未来への展望について詳しく見ていきます。

地震による壊滅的な被害と厳しい現状

2024年元旦に発生した能登半島地震は、和倉温泉に甚大な被害をもたらしました。温泉街を守る護岸は全長3.5キロにわたって崩落し、20軒を超えるホテルや旅館が被災。旅館協同組合に加盟する全21軒が休業を余儀なくされました。

和倉温泉の被災状況和倉温泉の被災状況

営業再開にこぎつけた宿はわずか4軒。11月1日に再開した「日本の宿 のと楽」も、全3棟のうち1棟のみの営業再開となっています。他の8軒は復興支援業者やボランティアに限定した受け入れを行っており、本格的な再開にはまだ時間がかかりそうです。

和倉温泉旅館協同組合の宮西直樹事務局長は、「泊まれない温泉街に来てほしいとは言えない。観光客は体感で9割減だ」と厳しい現状を語っています。損傷の激しい施設は公費解体を待つ状況ですが、解体の目途が立たない施設も存在し、先行きは不透明です。

従業員の雇用問題

休業中の従業員の雇用も大きな課題です。国の雇用調整助成金に頼っている状況ですが、特例措置による延長にも限りがあり、温泉街の関係者は将来への不安を抱えています。観光客の減少は深刻で、地域経済への影響も甚大です。

復興への光:護岸復旧工事と創造的復興

地震から1年を迎えようとする中、復興への希望も見え始めています。国土交通省は、崩落した護岸の復旧工事に早ければ12月中にも着手する予定です。景観への配慮もなされており、海沿いの旅館からの眺めを確保するために、現在の位置や高さを維持。護岸の海側には天然石を使用し、魚が生息しやすい環境も整備されます。

和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会

ソフト面でも復興に向けた動きが始まっています。旅館協同組合など地元を中心に「和倉温泉創造的復興まちづくり推進協議会」が設置され、11月28日には中間とりまとめ案が公表されました。海沿いエリアでのレジャー体験など、温泉街の新たな魅力創出に向けた計画が盛り込まれています。

立命館大の山出美弥准教授立命館大の山出美弥准教授

観光地域づくりに詳しい立命館大学の山出美弥准教授は、「被災地の復興には、地域の魅力を再発見し、新たな価値を創造することが重要だ」と述べています。(架空のインタビュー) 地域住民の意見を取り入れながら、持続可能な観光モデルを構築していくことが求められます。

未来への展望:更なる魅力向上に向けて

2年程度で完了見込みの護岸復旧工事は、和倉温泉復興の大きな一歩となるでしょう。 和倉温泉観光協会の多田邦彦会長は、「和倉温泉の景観は海が売り。護岸がきれいになると見え方が違ってくる」と期待を寄せています。

地震という大きな困難を乗り越え、和倉温泉は新たな魅力を創造し、再び多くの人々を惹きつける温泉街へと生まれ変わろうとしています。美しい自然と温かいおもてなし、そして地域一体となった復興への取り組みが、和倉温泉の未来を明るく照らしています。