児童手当と扶養控除の二重取り問題:高校生世代への影響と今後の展望

児童手当の支給対象拡大に伴い、令和7年度税制改正における高校生年代(16~18歳)の扶養控除の扱いが注目を集めています。国民民主党は維持を訴える一方、専門家からは廃止すべきだという声も上がっており、議論が白熱しています。本記事では、この問題の背景、双方の主張、そして今後の展望について詳しく解説します。

児童手当拡大と扶養控除維持の矛盾

10月に児童手当の支給対象が拡大されたことで、高校生年代の扶養控除との兼ね合いが問題視されています。野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、これを「児童手当との二重取り」と指摘し、廃止の必要性を訴えています。仮に扶養控除を維持する場合でも、恒久的な財源確保が不可欠であると強調しています。

高校生と扶養控除に関するイメージ画像高校生と扶養控除に関するイメージ画像

国民民主党の主張と課題

国民民主党は「手取りを増やす」ことを掲げ、減税や社会保険料軽減を重視した経済政策を推進しています。教育費負担の軽減は重要なアピールポイントとなるため、高校生年代の扶養控除維持に強いこだわりを見せています。しかし、税収減への対策については明確なビジョンを示しておらず、財源確保の議論が不足しているとの指摘もあります。「103万円の壁」問題における対応にも見られるように、財源確保の責任を政府・与党に押し付ける姿勢も見られます。

経済効果と恒久財源

手取り増加による消費拡大と税収増への期待も存在しますが、自民党税制調査会の後藤茂之小委員長は、経済効果による増収は恒久財源にはならないと反論しています。木内氏も、政策や財政の持続可能性を重視した長期的な視点での議論の必要性を訴えています。

扶養控除をめぐる今後の展望

扶養控除の維持か廃止か、今後の議論の行方が注目されます。税収確保と家計支援のバランスをどのように取るのか、政府・与党の判断が問われます。また、国民民主党は財源確保策を具体的に提示する必要があり、議論の深化が期待されます。

税金と家計に関するイメージ画像税金と家計に関するイメージ画像

まとめ:持続可能な社会保障制度に向けて

児童手当拡大と扶養控除維持の両立は、財政の持続可能性という大きな課題を抱えています。政府・与党、そして各政党は、短期的な利益だけでなく、長期的な視点に立って議論を進める必要があります。真に国民のためになる社会保障制度の構築に向けて、建設的な議論が求められています。