伊東市長の学歴詐称疑惑、百条委員会で飛び出した「約19.2秒」発言の波紋

静岡県伊東市の田久保真紀市長(55)が直面する学歴詐称問題は、今夏、市議会の百条委員会での初の証人尋問によって新たな局面を迎えました。これまで「東洋大学卒業」と公言していた経歴が実際には「除籍」であった事実が判明し、市民からの信頼が大きく揺らいでいます。特に注目されたのは、当選後に議長らに見せたという「卒業証書」が本物か偽物かという点。この疑惑を巡る田久保市長の証言が、波紋を広げています。

学歴詐称疑惑の核心と「19.2秒」発言の衝撃

田久保市長は、広報誌に掲載していた東洋大学卒業の経歴について、実際は「除籍」であったことを認めています。しかし、問題の核心は、市長が議長らに見せたという卒業証書の真偽です。議長側が「チラ見せだった」と主張するのに対し、百条委員会で田久保市長が発言した「約19.2秒ほど見ていただいたと記憶している」という具体的な数字は、会場をざわつかせ、委員からは失笑が漏れる一幕もありました。

百条委員会で証人尋問に臨む伊東市の田久保真紀市長。学歴詐称疑惑を巡る重要な証言の瞬間。百条委員会で証人尋問に臨む伊東市の田久保真紀市長。学歴詐称疑惑を巡る重要な証言の瞬間。

証人尋問終了後の囲み取材で、田久保市長は、19.2秒という数字が議長との会話を録音し、ストップウオッチで計測したものであると明かしました。委員からの「金庫の中の“本物の卒業証書”を大学に持っていき追及すべきではないか」という問いに対しては、「大学は親しみがあり愛着のある学び舎なので、大学とは対決姿勢で話し合いはしたくない」とかわしました。さらに、「東洋大学の本物の卒業証書を見たことはありますか?」という質問には、「見たことはありません」と答えており、自身の持ち出した卒業証書が「本物ではない」と自白しているに等しいとの見方も出ています。

世間の怒りとテレビ局の思惑:メディアが注視する「疑惑のニューヒロイン」

田久保市長の問答は「会話がかみ合わずイライラする」といった市民の声が多く聞かれ、世間の感情は怒り心頭に達しています。しかし、民放テレビ局のワイドショー関係者は、この「約19.2秒」といったキャッチーな言葉が飛び出したことで、市長の疑惑に関する放送が視聴率を大きく押し上げると指摘しています。これまでも、田久保市長の疑惑を報じるたびに視聴率が1%以上上昇する現象が見られ、テレビ業界では彼女を「疑惑のニューヒロイン」と呼び、この騒動がさらに長引くことを期待しているのが実情です。

刑事告発と捜査の進展:法的な側面と今後の行方

市民の怒りは法的な行動にも繋がっています。伊東市内にある建設会社の社長が公職選挙法違反の疑いで告発状を提出し、7月28日付で警察が受理しました。さらに、7月31日には千葉県に住む公務員の男性が、有印偽造私文書等行使と虚偽公文書作成および同行使の疑いで田久保市長を刑事告発しています。

一方で、政治家や首長に対する捜査はなかなか進展が見られないという指摘もあります。森實法律事務所の森實健太弁護士は、その理由として、警察内部の人員・時間不足、そして刑事告発がいつでも取り消せる性質を持つため、捜査が無駄になる可能性を考慮した慎重さが影響していると解説しています。また、起訴するか否かは検察官が決めることであり、証拠が不十分な場合には不起訴となるケースも少なくないと言います。

この田久保市長を巡る騒動は、市民の公正な市政運営への強い要求と、メディアの視聴率獲得という思惑が交錯する中で、今後どのような展開を見せるのか、引き続き日本中が注目しています。

参考文献

  • FRIDAYデジタル: 「約19.2秒ほど見ていただいた」伊東市の田久保真紀市長の百条委員会での証言が波紋 (Original article source)
  • Yahoo!ニュース: 8月13日、伊東市議会の百条委員会で証人尋問に応じ、同席した弁護士(右)と話す田久保真紀市長 (Image source)