日本女性の無子化:高まる未婚率と経済的不安の影

日本の少子化問題は深刻化の一途を辿っていますが、中でも女性の無子化はOECD諸国で最も高い水準にあります。2024年に49歳を迎える日本人女性の約3割が子どもを持たないという現実は、社会全体にとって大きな課題と言えるでしょう。本記事では、この無子化の背景にある要因を探り、今後の展望について考えていきます。

未婚化の進行と無子化の関連性

49歳女性の約3割が無子であることを示すグラフ49歳女性の約3割が無子であることを示すグラフ

無子化の大きな要因の一つとして、未婚化の進行が挙げられます。晩婚化も進んでいるとはいえ、結婚しない女性が増えていることが、子どもを持たない女性を増やす最大の理由と考えられます。

結婚願望と現実のギャップ

結婚指輪結婚指輪

過去の「出生動向基本調査」によると、1975年生まれの女性が20~30歳だった頃、未婚女性の約9割が「いずれは結婚するつもり」と回答していました。「一生結婚するつもりはない」と答えた女性はわずか5%程度でした。しかし、現実には未婚率ははるかに高い数値となっています。

これは、結婚願望を持ちながらも、様々な理由で結婚に至らなかった女性が多いことを示唆しています。結婚を希望しながらも、未婚のまま子どもを持たない女性が増えている現状は、少子化問題を考える上で重要なポイントと言えるでしょう。

無子化の背景にある経済的不安

甲南大学の前田正子教授は、無子化の背景に未婚化に加え、経済的な不安も大きく影響していると指摘しています。守泉理恵氏の研究(「日本における無子に関する研究」『人口問題研究』2019)によれば、25~39歳の独身女性において、「交際相手がおらず年収が100万円未満」のグループで無子志向が高まっていることが明らかになっています。

つまり、積極的に無子を選択しているのではなく、経済的な理由やパートナーの不在から結婚や出産を諦めている女性が多いという現状が浮き彫りになっています。生活の基盤となる収入が不安定だと、結婚や出産に踏み切れない女性が多いのも当然と言えるかもしれません。結婚相談所の仲人士A氏も「経済的な不安は結婚の大きなハードルになっている」と述べています。

まとめ

日本の無子化問題の背景には、未婚化の進行だけでなく、経済的な不安も深く関わっています。結婚や出産を希望しながらも、様々な事情から諦めざるを得ない女性が多い現状を改善していくためには、社会全体で子育て支援策を充実させるだけでなく、女性の経済的自立を支援する取り組みも不可欠です。