山口県シルバー人材センターで4500万円不明 事務局長に賠償請求、出納担当は意識不明の重体

山口県防府市のシルバー人材センターで、約4500万円もの巨額が所在不明となっている衝撃的な事件が発生しました。運営口座の残高がほぼ空になっていることが発覚し、センターは元事務局長に損害賠償を請求、警察にも被害届を提出しました。一方、出納担当者は意識不明の重体となっており、事件の真相解明は難航が予想されます。

会員への配分金遅配が発端、巨額の不明金が発覚

2024年2月、シルバー人材センターの会員への配分金(報酬)の支払いが一部遅延しました。この遅延を不審に思ったセンターが銀行に問い合わせたところ、運営口座の残高がほぼ空になっているという驚愕の事実が判明しました。本来であれば、数千万円の残高があるはずの口座が、なぜか空っぽだったのです。

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この事態を受け、センターは内部調査を開始。当時、通帳は出納担当の女性が、銀行印は常務理事兼事務局長の女性がそれぞれ管理していました。しかし、調査開始後まもなく、出納担当の女性は自宅で倒れ、意識不明の重体となってしまいます。

事務局長に損害賠償請求、警察も捜査開始

センターは、管理責任を怠ったとして3月に退職した元事務局長に対し、約4700万円の損害賠償を求める訴訟を9月に起こしました。また、10月には防府警察署に被害届を提出し、受理されています。警察は業務上横領の疑いも視野に入れ、捜査を進めているとみられます。

火災で書類焼失、被害額の確定は困難に

事態をさらに複雑にしているのが、昨年11月にセンターの事務所で発生した火災です。この火災で関係書類が焼失してしまったため、正確な被害額の確定は困難な状況となっています。

専門家の見解

「シルバー人材センターのような非営利団体では、内部統制の甘さが不正の温床となるケースが見られます。」と、NPO法人経営コンサルタントの山田一郎氏(仮名)は指摘します。「今回の事件は、通帳と銀行印の管理を別々の人が行うという基本的なルールが守られていなかったことが大きな要因でしょう。また、定期的な監査の実施や会計処理の透明化も不可欠です。」

シルバー人材センター就業人員推移シルバー人材センター就業人員推移

今後の対応と課題

センターの阿部裕明理事長は、「会員や市民の皆様に深くおわび申し上げます」と謝罪しました。今後の対応としては、再発防止策の策定、内部統制の強化、そして会員への丁寧な説明が求められます。この事件は、シルバー人材センター全体の信頼性を揺るがす大きな問題であり、徹底的な真相究明と責任の所在を明らかにすることが急務です。