日産自動車は深刻な経営危機に直面しています。10月初旬、内田誠社長はオンライン会議で業績悪化と人員削減を幹部に伝えました。北米と中国での販売不振、そして電気自動車(EV)戦略の遅れが主な原因とされています。本記事では、日産の現状と今後の展望、そして内田社長の挑戦について詳しく解説します。
EVへの先行投資が裏目に?揺らぐ日産の経営戦略
alt="ニューヨーク国際自動車ショーで発表された日産アリア"
日産はEVのパイオニアとして「リーフ」を発売するなど、先行投資を行ってきました。しかし、ここにきてその戦略が裏目に出ているようです。ハイブリッド車(HV)人気が高まる北米市場で、日産はHVを投入していなかったため、販売不振に陥っています。EVに注力するあまり、市場のニーズを読み間違えたとの指摘も出ています。自動車業界全体が変革期を迎える中、日産の経営判断の遅れが浮き彫りとなっています。
米国市場の誤算と中国市場での苦戦
米国では、EVの高価格と充電インフラの未整備がネックとなり、HV需要の高まりに対応できなかった日産。一方、中国市場では、デザイン面で消費者のニーズを捉えきれず、販売が低迷しています。世界的な販売台数の減少は、日産の経営に大きな影を落としています。
alt="日産のロゴ"
内田社長の改革と「物言う株主」の圧力
内田社長は、生産能力と人員の削減、そして自らの報酬カットを発表するなど、経営再建に尽力しています。しかし、業績回復への道のりは険しく、株主からの圧力も強まっています。「物言う株主」と呼ばれる投資ファンドが日産株を取得し、さらなる改革を要求する可能性も出てきました。
生産能力・人員削減計画の現状
日産は世界規模で生産能力の20%削減を計画しており、工場閉鎖やライン削減によるコスト圧縮を進めています。米国では早期退職を募り、タイでも人員削減を検討。中国ではさらなる生産能力削減の可能性も示唆されています。一方で、英国サンダーランド工場は刷新されたばかりのため、削減対象外となる見込みです。
日産の未来:岐路に立つ自動車メーカー
日産は、ルノーとの提携関係の見直しやホンダとの業務提携など、様々な取り組みを進めています。しかし、市場の変化の速さについていけず、苦戦を強いられています。内田社長は続投の意思を示していますが、今後の数カ月が日産の未来を左右する重要な時期となるでしょう。自動車業界全体が大きな変革期を迎える中、日産はどのように生き残りを図るのか、注目が集まります。