韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が2023年3月3日に発令した戒厳令。その舞台裏で、国会議員強制排除の指示や情報機関による政治家逮捕計画があったとの証言が相次いで浮上し、波紋を広げている。jp24h.comでは、この騒動の真相に迫る。
国会突入:議員引きずり出しの指示
戒厳令発令に伴い国会に突入した軍部隊の司令官、郭種根(クァク・チョングン)特殊戦司令官は、当時の国防相、金竜顕(キム・ヒョンヒョン)氏から「議員たちを引きずり出せ」との指示を受けたと証言した。この指示は野党議員らへの説明の中で明らかにされ、その様子はインターネット上で公開された。
金前国防相は、国会議事堂や中央選挙管理委員会、政権批判的なネット番組の施設の確保を指示していたという。しかし、議員の強制排除については「明らかに違法」と判断した郭司令官は、この指示に従わなかったと説明。部隊員への実弾携帯許可も拒否したという。
韓国国会議事堂
郭司令官の証言によると、尹大統領本人からも直接電話があり、部隊名と現在位置を問われたという。もし議員の強制排除が実行されていれば、大規模な衝突に発展し、多数の負傷者が出る可能性もあっただろう。戒厳令発令の裏側にあった緊迫した状況が浮き彫りになっている。
情報機関による政治家逮捕計画
国家情報院のホン・ジャンウォン第1次長は、尹大統領から直接電話で政治家らを「この機会に捕まえろ」と指示されたと証言。逮捕対象者には国会議長や与野党のトップらの名前が挙がっていたという。
しかし、趙太庸(チョ・テヨン)国家情報院長は、ホン次長がその後、この指示について否定したと説明。ホン次長の更迭を尹大統領に進言したことも明らかにした。情報機関内部での食い違いも明らかになり、真相解明は一層困難な状況となっている。
国家情報院
選挙不正疑惑と中央選挙管理委員会への軍投入
戒厳令発令下、国会よりも多くの約300人の軍部隊が中央選挙管理委員会関連施設に投入された。金前国防相は、「多くの国民が不正選挙疑惑を提起」していることを理由に、システムと施設の確保が必要だったと釈明。軍は選管職員の携帯電話を押収したが、データサーバーなどの押収は確認されていない。
4月の総選挙での不正疑惑は、一部の保守団体やユーチューバーが主張してきたもの。尹大統領が特定の保守系ユーチューブ番組を愛好してきたとの証言もあり、国家指導者が一部の陰謀論のような主張をうのみにし、選管の占拠まで企てた疑いが浮上している。この事態は保守層の間でも深刻に受け止められており、今後の政局に大きな影響を与える可能性がある。
真実はどこにあるのか?今後の捜査と政局の行方
尹大統領による国会議員強制排除指示や政治家逮捕指示の真偽は、今後の捜査の焦点となるだろう。これらの疑惑が事実であれば、韓国の民主主義の根幹を揺るがす重大な問題となることは間違いない。今後の捜査の進展と政局の行方に注目が集まる。
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