シリア内戦は新たな局面を迎え、反体制派の攻勢が激化しています。ダマスカス郊外への進軍に加え、主要都市ホムスを完全制圧したことで、アサド政権の崩壊が現実味を帯びてきました。この記事では、緊迫するシリア情勢の最新情報をお伝えします。
反体制派の攻勢激化、ダマスカス包囲へ
反体制派は南部ダルアーから北上し、ダマスカス郊外まで進軍しました。政府軍は首都防衛に向けて撤退を続けており、市民の間には避難の動きも出ています。反体制派幹部はSNSで「ダマスカス包囲の最終段階に入った」と宣言し、首都陥落への強い意志を示しました。
反体制派の戦闘員たち
ダマスカス南部では、イスラム教少数派ドルーズ派による反政府デモが発生し、アサド大統領の肖像などが破壊されました。スワイダでも反体制派が警察署を襲撃し、収容者を解放するなど、各地で混乱が広がっています。
ホムス完全制圧、アサド政権の危機深まる
反体制派はホムスへの攻勢を強め、ついに市内を完全に制圧しました。政府軍は撤退を余儀なくされ、幹部はヘリコプターで脱出したと報じられています。ホムスは主要都市を結ぶ交通の要衝であり、その陥落はアサド政権にとって大きな打撃となります。
ホムスは、ロシアの軍事基地があるラタキアやタルトスとダマスカスを結ぶ幹線道路上に位置しています。反体制派によるホムスの制圧は、首都ダマスカスを孤立させる戦略的な勝利と言えます。さらに南下すれば、首都を南北から包囲する形となり、アサド政権の危機はさらに深まるでしょう。米CNNは、米政府当局者の話として「数日中にアサド政権が崩壊する可能性がある」と報じています。
国際社会の対応と今後の展望
ロシア、イラン、トルコの外相はカタールで会談し、シリア情勢の解決に向けた協議を行いました。3カ国はアサド政権と「正統な反体制派」に対し、交渉による解決を呼びかけました。しかし、ロシアは政府軍への支援継続を表明しており、事態の収束にはまだ時間がかかる可能性があります。
サウジアラビアやエジプトを含むアラブ5カ国も共同声明を発表し、武力衝突の停止と政治的解決を求めました。国際社会の動向がシリア内戦の行方を左右する重要な要素となるでしょう。シリアの混乱は今後、周辺国や国際社会全体に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。今後の展開に注視していく必要があります。