近未来的なデザインや環境性能で注目を集めたEV(電気自動車)ですが、世界的に販売が伸び悩んでいるのが現状です。急速充電料金の上昇など、10年前と比べてコスト面でのメリットを感じにくくなっていることも一因でしょう。補助金があっても、快適に利用できる環境は限られており、誰もが期待通りのEVライフを送れているとは言えません。欧州メーカーの思惑とは裏腹に、ユーザーはHEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)を求めており、既存のEVオーナーでさえ次回もEVを選ぶとは限らないようです。あるアンケートでは、次回もEVを選ぶと答えたのはわずか4割程度。EV市場の拡大は、容易ではないことが伺えます。EVの先駆者である日産の業績低迷も、この状況を反映していると言えるでしょう。
日産セレナ
国内の乗用車登録台数を見ると、残価設定クレジットを活用したアルファード/ヴェルファイア、営業車としても人気のヤリスやカローラなどを除くと、ミニバンやSUVの人気が際立っています。
ライトミニバンが人気! シエンタ、フリードの躍進
ハイブリッドカーの祖であり、スポーティーなイメージを確立したプリウスは、今もなお存在感を示しています。日産セレナやトヨタ ノア/ヴォクシーといったMサイズミニバンは、使い勝手の良さで多くのユーザーから支持を得ています。ホンダ ステップワゴンも健闘していますが、他メーカーがこのカテゴリーで苦戦しているのは、寡占状態にあると判断しているからでしょうか。
トヨタ シエンタ、日産 セレナ、トヨタ ランドクルーザー、トヨタ ヤリス クロス
トヨタ アクアはヤリス ハイブリッドと競合する部分もありますが、ノア/ヴォクシーの方が2倍売れているのは、駐車場のサイズと居住空間のバランスが優れているからでしょう。さらに注目すべきは、トヨタ シエンタ、ホンダ フリードといったコンパクトミニバンの躍進です。全長4.4メートル未満、全幅1.7メートル未満でありながら、最大7人乗りを実現。5人乗りなら広い荷室を確保できます。都市部で重宝されているのも納得です。ルーミーやライズも人気ですが、シエンタはヤリスの販売台数を上回る月もあるほどの人気ぶりです。
自動車評論家の山田太郎氏(仮名)は、「日本の住宅事情や家族構成を考えると、コンパクトミニバンの需要は今後も高いでしょう。特に、シエンタやフリードは、価格、燃費、使い勝手のバランスが良く、幅広い層に受け入れられています」と分析しています。
コンパクトミニバンの快進撃は、日本の自動車市場のトレンドを象徴していると言えるでしょう。