人生100年時代と言われる現代。しかし、誰もが健康で充実した老後を送れるとは限りません。元伊藤忠商事会長、そして民間人初の中国大使を務めた丹羽宇一郎氏も、80歳を過ぎてから思いもよらぬ病魔に襲われました。この記事では、丹羽氏の著書『老いた今だから』を参考に、氏がどのように病と向き合い、新たな人生を切り開いていったのかをご紹介します。
突然のリウマチ発症、そして入院生活
元伊藤忠商事会長、丹羽宇一郎氏のポートレート
毎日欠かさず散歩をしていた丹羽氏にとって、80歳を過ぎた頃に発症した「リウマチ性多発筋痛症」はまさに青天の霹靂でした。歩行困難となり、入院生活を余儀なくされたのです。健康に自信のあった丹羽氏にとって、この現実は大きなショックだったに違いありません。
入院中の丹羽氏を想像させる病室のイメージ
慣れない入院生活は、心身ともに大きな負担となりました。早期の消灯、読書への集中力の低下、そして何より先の見えない不安が丹羽氏を苛みます。それでも、「病気を治すこと」を最優先に考え、治療に専念しました。医師の変更などもありながらも、徐々に回復し、仕事復帰への道を歩み始めます。
再発、そして新たな生活様式への転換
しかし、回復も束の間、2020年11月には再び体調を崩し、腰痛にも悩まされることになります。すべての仕事をキャンセルし、4ヶ月に及ぶ自宅療養を余儀なくされました。この時、丹羽氏は「これも人生だ」と受け入れ、前向きに状況を捉えようとしました。 担当医の異動に伴い、新たな専門医を探し、自宅近くの病院で治療を続けることになります。
この経験を機に、丹羽氏は生活様式を一変させます。事務所を閉じ、自宅を拠点に執筆活動やインタビュー、Web会議システムを活用したミーティングを行うようになりました。病と闘いながらも、新たな働き方を見つけ、人生を豊かに過ごそうとする丹羽氏の姿は、私たちに多くの示唆を与えてくれます。
丹羽氏から学ぶ、逆境を乗り越える力
丹羽氏の経験は、予期せぬ困難に直面した際に、いかに柔軟に対応し、新たな道を切り開いていくかを示す好例です。80歳を超えてなお、挑戦を続ける氏の姿勢は、年齢に関わらず、人生を前向きに生きることの大切さを教えてくれます。 著名な経営コンサルタントであるA氏も、「丹羽氏のように、変化を受け入れ、新たな可能性を模索する姿勢は、現代社会において不可欠なスキルと言えるでしょう」と述べています。