12・3事件、戒厳令下で国会突入を命じられた韓国陸軍第707特殊任務団。その驚くべき実態が、キム・ヒョンテ団長(当時大佐)の証言で明らかになりました。最精鋭部隊でありながら、作戦前の情報収集はTマップ頼み。まるで映画のような信じがたい状況に、韓国社会は大きな衝撃を受けています。
Tマップで国会構造を把握?前代未聞の作戦準備
キム団長は記者会見で、「戦闘でこのような無能な命令を下していたら、全員死亡していたでしょう」と涙ながらに訴えました。第707特殊任務団は、対テロ作戦や要人暗殺など、極秘任務を遂行するエリート部隊。米軍のデルタフォースに匹敵する精鋭部隊であり、北朝鮮への斬首作戦にも投入されるといわれています。
alt:キム・ヒョンテ団長が記者会見で当時の状況を説明している様子
通常、特殊作戦は綿密な計画と周到な準備のもとに行われます。作戦地域の情報収集、建物の内部構造の把握、侵入路と退却路の確保、そして複数回のシミュレーションは必須です。しかし、キム団長は国会突入の命令を受けた時、国会の構造すら知らなかったと証言しています。
元特殊戦司令部隊員によれば、特殊作戦は通常1週間、短くても2~3日の準備期間が必要です。しかし、キム団長にはそのような時間は与えられませんでした。
国会突入の命令:150人以上の議員を集めるな
キム団長は、当時の国防部長官キム・ヨンヒョン氏から「国会議員を150人集まらせてはならない」という命令を受けたと語っています。戒厳令解除に必要な国会本会議の可決を阻止するための指示でした。
alt:キム・ヒョンテ団長が記者会見で当時の心境を吐露している様子
ヘリコプター搭乗までのわずかな時間、キム団長が取った行動は、なんと一般市民向けナビアプリ「Tマップ」で国会の構造を確認することでした。Tマップで議事堂、議員会館、運動場の位置を大まかに把握し、その画面をキャプチャして部隊員に指示を出したのです。
最精鋭部隊の現実:現場での混乱と長官からのプレッシャー
Tマップの情報だけで国会に到着した部隊は、現場で混乱に陥りました。国会議事堂は予想以上に大きく、部隊は右往左往。その間も、キム長官からは「今どの辺りか」「早く国会議員を引きずり出せ」と矢継ぎ早に指示が飛んできたといいます。
キム団長は「キム長官に利用された。恨めしい」と語っています。この証言は、当時の緊迫した状況と、最精鋭部隊が置かれた異常な状況を浮き彫りにしています。軍事専門家からは、「Tマップ頼みの作戦準備は、特殊部隊の運用としてはありえない」という批判の声が上がっています。
軍事クーデター未遂事件の真相究明へ
12・3事件は、韓国現代史における大きな傷跡を残しました。Tマップを使った作戦準備という驚愕の事実は、事件の真相究明をさらに複雑にする可能性があります。今後の捜査の進展が注目されます。