柄本佑、大河「光る君へ」で見つけた新たな境地:60代まで演じ切り、演技観に変化

NHK大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長を熱演した柄本佑さん。約2年間の撮影期間を経て、今何を思うのでしょうか?最終回を終え、道長役を通して得たもの、自身に起きた変化、そして彼の存在感あふれる演技を支える意外なルーティンに迫ります。

大河を終えて、心境は?

撮影を終えた柄本さんは、「不思議な感じ」と表現します。約1年半の撮影期間、月曜日のリハーサルから金曜日の撮影まで、規則正しいリズムで生活していたのが、急に途絶えたことで、どこかふわふわとした感覚に陥っているようです。準備期間を含めると、一つの作品に2年以上関わったのは初めてのこと。吉高由里子さんをはじめとする共演者、スタッフに囲まれた笑顔あふれる現場の温かさを改めて実感し、寂しさも感じていると語っています。

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まだ作品を客観的に見れていないと話す柄本さん。しかし、40歳を目前にして、作品や演技に対する価値観に変化が芽生えているようです。

長期作品への挑戦と演技観の転換

「長い時間をかけて作られた作品は、何かを残していく」と語る柄本さん。大河ドラマが始まる前から、演技の良し悪しという評価軸から脱却したいと考えていたといいます。「光る君へ」はその転換点となる現場だったと振り返ります。ドラマが終わっても、自分の中で作品が生き続けることで、演じることへの新たな楽しみを見出せると感じているそうです。

10代から60代へ:年齢を超えた演技の挑戦

今回の大河ドラマで、柄本さんは藤原道長の10代から60代までを演じました。この経験を通して、新たな気づきがあったといいます。「自分はまだまだ若い」と痛感したと同時に、「四十、五十は洟垂れ小僧」という言葉の真意を理解したそうです。

今作では、老けメイクはあまりせず、煌びやかで若々しい世界観を保つ演出がされました。しかし、演じる側としては、役柄の年齢やセリフ、そして自分自身の年齢や肉体とのギャップに葛藤もあったようです。先輩俳優の演技を参考にしながらも、年齢を重ねた役柄を演じる難しさを感じたといいます。

演技の奥深さを知る

「若いのはどうしようもない」と語る柄本さん。しかし、それは決してネガティブな意味ではなく、むしろ謙虚さと探求心にあふれた言葉です。演技の奥深さを改めて実感し、更なる高みを目指す意欲を燃やしているように感じられます。例えば、有名な歌舞伎役者、坂東玉三郎さんも年齢を重ねるごとに円熟味を増した演技を見せています。年齢による変化を演技にどう活かすか、それが今後の課題となるでしょう。(架空の専門家:演劇評論家 市川藤十郎氏)

新たなスタート

大河ドラマ「光る君へ」は、柄本佑さんにとって大きな転機となる作品となりました。年齢を超えた演技への挑戦、そして演技観の転換。今後の更なる活躍に期待が高まります。