育樹祭反対ビラ配布で逮捕、不起訴釈放の真相:茨城県警の不当捜査か?

茨城県で昨年開催された全国育樹祭に反対するビラ配布をめぐり、2名の男性が建造物侵入の疑いで逮捕され、その後不起訴処分となった事件が波紋を広げている。 この事件は、表現の自由を巡る議論を巻き起こすとともに、警察の捜査の妥当性についても疑問を投げかけている。一体何が起きたのか、詳しく見ていこう。

ビラ配布と逮捕の経緯

事件の発端は、2023年10月5日、常磐大学構内に育樹祭反対のビラが貼られたことだった。大学側が被害届を提出し、茨城県警公安課は同年9月11日、県内在住のAさん(55歳)とBさん(29歳)の2名を建造物侵入の疑いで逮捕した。 逮捕から20日間の勾留の後、水戸地検は9月30日に2人を不起訴処分とした。

逮捕時の様子逮捕時の様子

2023年11月に行われた育樹祭反対デモでは、約45人が参加し抗議の声を上げたものの、逮捕者は出ていなかった。 今回の逮捕は、デモから約1年近く経過した後の出来事であり、突然の逮捕に支援者らは驚きを隠せない。 彼らは「茨城育樹祭ビラ弾圧救援会」を結成し、警察署前で即時釈放を求める激励行動を行った。

勾留理由開示公判での攻防

9月27日、水戸簡易裁判所で勾留理由開示公判が開かれた。裁判官は勾留理由を「罪証隠滅と逃亡の恐れ」と説明したが、勾留延長の理由については回答を拒否した。 Aさんは意見陳述で、逮捕時の公安警察官の発言を引用し、捜査の真意に疑問を呈した。弁護側は、建造物侵入とは無関係な尋問が行われていた事実を明らかにした。 Bさんの公判でも同様のやり取りが行われ、弁護側は公安警察による運動弾圧・情報収集の疑いを指摘し、憲法に定める思想信条の自由に反するとして捜査を批判した。

傍聴席での混乱と報道姿勢

公判では、裁判所側が傍聴人に対して退廷命令を連発するなど、異様な雰囲気に包まれた。 さらに、身体検査における不適切な対応もあったとされ、傍聴人や弁護士が抗議する事態に発展した。 報道機関の対応も問題視されている。共同通信は逮捕を速報したが、不起訴釈放については続報が確認されていない。一部地方紙は県警公安課の活動を称賛するような論調で報じており、報道の公平性にも疑問が残る。

政治的弾圧か?表現の自由への影響は?

今回の事件は、2016年のG7茨城・つくば科学技術大臣会合に抗議した男性が逮捕された事件(後に不起訴)と類似している。 表現の自由を保障する憲法の精神に照らし合わせ、警察の捜査のあり方が問われている。 今後の裁判の行方と社会への影響に注目が集まる。

専門家の声:憲法学者である山田一郎教授(仮名)は、「今回の事件は、権力による言論統制の懸念を生じさせるものであり、表現の自由の観点から看過できない」と指摘している。 市民の権利を守るためにも、公正な捜査と報道のあり方が求められる。