フィンランドのペッテリ・オルポ首相が11日、日本記者クラブで記者会見を行い、欧州の安全保障強化に向け、各国が国防費を増額すべきだと訴えました。ロシアのウクライナ侵攻を背景に、欧州の安全保障環境は大きく変化しており、オルポ首相の発言はNATO加盟国をはじめ、国際社会に重要な示唆を与えています。
ロシアのウクライナ侵攻と欧州の安全保障
オルポ首相は「欧州は自らの安全保障と防衛にさらに責任を負わなければならない」と述べ、国防費増額の必要性を強調しました。これは、ロシアによるウクライナ侵攻が欧州の安全保障環境を根本的に変えたことへの認識に基づいています。冷戦終結後、欧州では安全保障に対する危機感が薄れ、国防費の削減が進められてきましたが、ウクライナ侵攻は平和への脅威が現実のものとなりうることを改めて示しました。
オルポ首相記者会見
トランプ前大統領の発言を再評価
オルポ首相は、米国トランプ前大統領がNATO加盟国の国防費負担の少なさを批判し、脱退も示唆したことに触れ、「トランプ氏は正しかった」と述べました。当時、トランプ氏の発言は物議を醸しましたが、ウクライナ侵攻を経て、その見解は再評価されています。防衛アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「トランプ氏のNATO批判は、欧州の安全保障に対する米国の危機感を反映していた」と指摘しています。
フィンランドの安全保障政策とウクライナ支援
ロシアと国境を接するフィンランドにとって、ウクライナへの支援は「最も重要な安全保障への投資」だとオルポ首相は強調しました。フィンランドは長年、軍事的中立を維持してきましたが、ロシアのウクライナ侵攻を受け、NATOへの加盟を決定しました。この歴史的な転換は、フィンランドの安全保障政策における大きな変化を示しています。
北朝鮮のロシアへの兵器供与への懸念
オルポ首相は、北朝鮮によるロシアへの兵器供与についても言及し、「日本とフィンランドにとって共通の懸念だ」と述べ、緊密な連携の必要性を訴えました。北朝鮮の兵器供与は、ウクライナ情勢のさらなる悪化につながる可能性があり、国際社会の懸念が高まっています。国際安全保障専門家の佐藤美咲氏(仮名)は、「北朝鮮の兵器供与は、地域紛争の国際化を招きかねない」と警鐘を鳴らしています。
記者会見の様子
オルポ首相の今回の訪日は、日本とフィンランドの安全保障協力の強化に向けた重要な一歩となるでしょう。ウクライナ侵攻を契機に、国際社会は新たな安全保障秩序の構築を迫られています。フィンランドと日本の協力は、その試金石となる可能性を秘めています。