参院選東京選挙区、参政党さや氏が急浮上 注目集める女性候補者の動向

2025年に行われる第27回参議院選挙(7月20日投開票)において、改選6議席に欠員1を加えた計7議席を争う東京選挙区は激戦地となっています。32人の候補者がひしめく中、女性候補者は10人に上り、“女の戦い”の様相を呈しています。特に注目を集めているのが、参政党から立候補したさや氏です。2020年の結党以来、着実に支持を広げてきた参政党は、先月の都議選で初の議席(3議席)を獲得しており、その勢いを背景に首都決戦を制することができるかに注目が集まっています。他の女性候補者たちも都内各地で精力的に街頭演説を行っています。

さや氏の選挙戦と訴え

参政党のさや氏は、7月5日に練馬区の光が丘駅前に集まった約50人の聴衆に向けて演説を行いました。自身を就職氷河期世代とアピールしつつ、強みとする経済政策を熱く訴えました。「日本が真の意味で自立するには経済の立て直しが第一。これまで怠けてきた政治、国のお尻を私たちが叩きまくります!」と語り、集まった人々から大きな声援が送られました。

歌手からの転身という異色の経歴を持つさや氏ですが、当初は注目度がそれほど高くありませんでした。しかし、各社が実施した情勢調査では上位に急浮上しており、その存在感を増しています。細身で清楚な外見に加え、低めの落ち着いた声での演説は聴衆にとって聞きやすいと評判です。長年にわたり保守系のネット番組でキャスターを務め、多様な論客と政治に関する議論を重ねてきたことで培われた豊富な知識も、支持につながっている要因と考えられます。陣営も「本人の魅力を伝えるべく、実直に選挙戦に挑み支えていく」と、選挙運動に力を入れています。

参院選東京選挙区に立候補した参政党のさや氏が聴衆に向けて演説する様子参院選東京選挙区に立候補した参政党のさや氏が聴衆に向けて演説する様子

「さや」への改名と戦略

候補者名を芸名の「saya」から平仮名の「さや」に変更したことも奏功しているようです。アルファベットでの届け出が認められない可能性があったためとされていますが、フルネームが並ぶ候補者名簿の中で、平仮名2文字の「さや」は強い印象を与え、有権者の目に留まりやすくなっています。実際に、「平仮名の名前の人(さや氏)が気になっていて、家の近くで演説をすると知って来た」と語る50代の男性もいました。さや氏自身も演説の中で「史上最短の名前だと思います」とアピールしており、これも選挙戦略の一つと見られます。

党への共感と支持層

参政党が掲げる「日本人ファースト」の政策理念には、多くの共感が寄せられています。特に、クルド人問題で揺れる埼玉県川口市出身で都内在住の50代女性は、「ずっと住んでいる人が大切にされていない今こそ原点に立ち返るべき。他党とは明確に違う路線」だと話しています。また、現在の石破政権がリベラル色が強いと感じている自民党支持の保守層の票が、参政党に流れているという見方もあります。

政策への懸念と陣営の姿勢

参政党の政策には一部過激な側面があるとの指摘もあり、党の神谷宗幣代表による「高齢女性は子供が産めない」といった発言が物議を醸したこともあります。しかし、多くの支持者は「(発言が文脈を無視して)切り抜かれてかわいそう」などと擁護する姿勢を見せており、陣営も「影響ない」と静観しています。このままの勢いで選挙戦を走り切ることができるか、その動向が注目されます。

女性候補者全体の傾向

今回の参院選における女性候補者は全国で152人となっており、過去最多だった前回2022年参院選に次ぐ2番目の多さです。候補者全体に占める女性の割合は29.1%で、前回の33.2%を下回りました。これは、政府が男女共同参画基本計画で今年の目標として掲げた女性比率35%には届かない結果となっています。政党別の女性候補者数では、24人を擁立した参政党が最も多く、次いでれいわ新選組が45.8%(11人)、共産党が42.6%(20人)、立憲民主党が41.2%(21人)となっています。

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