アフガニスタンで実権を握るイスラム主義勢力タリバン暫定政権のムジャヒド報道官が、朝日新聞の単独インタビューに応じ、女性に対する教育・就労制限の新たな動きについて言及しました。12月3日より開始された女性の保健・医療学校への通学禁止措置について、同氏は「教育機関は一つの制度下で運営されるべきだ」と述べ、暫定政権主導の措置であることを事実上認めました。この動きは、国際社会から更なる批判を招く可能性があります。
タリバン暫定政権、女性の保健・医療学校への通学を禁止
2021年8月の復権以来、タリバンは女子の中等教育以上の禁止、女性の就労制限など、女性の権利を著しく制限してきました。国際社会からの非難を受けながらも、女性の医療機関受診については、女性の医療関係者による診察・治療を条件に、私立医療学校への通学を例外的に認めてきました。しかし、ここにきて更なる制限強化ともとれる動きが出ています。
アフガニスタン南部カンダハルでインタビューに応じるタリバン暫定政権のムジャヒド幹部
今月に入り、各地の保健・医療学校で女性の通学が禁止され、一部の学校では試験実施後、閉鎖される事態となっています。暫定政権は公式な発表を控えていましたが、ムジャヒド報道官の発言により、その関与が明らかになりました。
一時的措置と主張も、教育機関への統制強化を表明
ムジャヒド報道官は今回の措置を「一時的なもの」としながらも、「保健・医療学校は、同一の教育カリキュラムと高等教育省の監督下で再開されるべきだ」と主張。これは、暫定政権による教育機関への統制強化を示唆するものとみられます。
女性の権利制限、国際社会の反応は?
タリバンの女性抑圧政策は、国際社会から強い非難を浴び続けています。アフガニスタン支援の凍結や、暫定政権の承認拒否など、各国は様々な形で圧力をかけていますが、状況は改善していません。今回の保健・医療学校への通学禁止措置も、更なる批判を招くことは必至です。
カブールに住む双子の兄妹。兄は学校に通い、妹は今年から通えなくなった
文化・伝統を盾に内政不干渉を訴えるタリバン
ムジャヒド報道官は、「女子教育の再開などは、宗教学者などに受け入れられる方法を模索している」と述べる一方、「文化的・伝統的な事案は我々内部の問題だ」として、他国に内政不干渉を訴えました。しかし、女性の権利は普遍的な人権であり、国際社会が注視し続ける重要な課題です。今後のタリバンの動向、そして国際社会の対応に注目が集まります。
アフガニスタンにおける女性の権利制限は、深刻な人道危機へと発展する可能性を孕んでいます。医療従事者の不足は、国民の健康に深刻な影響を与えることが懸念されます。国際社会は、人道支援と並行して、タリバンへの働きかけを強化していく必要があるでしょう。