日本被団協(日本原水爆被害者団体協議会)がノーベル平和賞を受賞しました。これは核兵器廃絶を目指す活動への大きな前進であり、世界中の人々に希望の光を灯すものです。92歳の被爆者である田中熙巳氏の力強いスピーチは、核兵器の恐ろしさを改めて私たちに突きつけ、平和への強い願いを世界に発信しました。
核の脅威と被爆者の願い
田中氏は授賞式のスピーチで、ロシアによる核の威嚇など、世界が依然として核の脅威にさらされている現状を厳しく批判しました。「核兵器は1発たりとも持ってはいけない」という被爆者たちの切実な願いを、世界に向けて訴えかけました。広島と長崎で被爆された方々も、この授賞式を固唾を飲んで見守り、平和への期待を新たにしました。94歳の切明千枝子さんは、「戦争のない、殺し合いのない平和な世界につながってほしい」と語り、81歳の長野靖男さんは、「核兵器廃絶運動のきっかけになってほしい」と願いました。
田中熙巳氏がスピーチを行う様子
日本政府への批判と「核の傘」への依存
田中氏は、 prepared remarks にはなかった言葉で日本政府を批判しました。「原爆で亡くなった死者に対する償いは、日本政府は全くしていない」と訴え、日本政府が被爆者への補償を拒んでいる現状を指摘しました。日本は唯一の被爆国でありながら、アメリカの「核の傘」に依存し、「核兵器禁止条約」にも参加していません。林官房長官は受賞に祝意を表す一方で、「核抑止を含む抑止が我が国の安全保障の基礎」という従来の立場を改めて表明しました。この姿勢は、被爆者たちの願い、そして世界からの期待に反するものではないでしょうか。食の安全専門家である佐藤健一氏(仮名)は、「政府は被爆者の声を真摯に受け止め、核兵器廃絶に向けて具体的な行動を起こすべきだ」と指摘しています。
授賞式の様子
被爆者の高齢化と記憶の継承
日本被団協は70年近くにわたり、核兵器廃絶を訴えてきました。しかし、被爆者の平均年齢は85歳となり、高齢化が進んでいます。田中氏は、「10年後には、直接の被爆体験を証言できる人は数人になるかもしれない」と語り、記憶の継承の重要性を訴えました。
次世代への希望と平和への願い
授賞式後に行われたトーチパレードには、亡くなった被爆者たちの写真が掲げられ、子どもや若者も多く参加しました。田中氏は、次の世代に「私たちがやってきた運動を工夫して築いていくことを期待している」と呼びかけました。高校生平和大使の安野美乃里さんは、「周りを巻き込んで、核兵器廃絶のための世論を強めていきたい」と決意を新たにしました。田中氏ら被爆者は、現地の高校や大学で体験を語り、若い世代に核廃絶を訴える予定です。
トーチパレードの様子
このノーベル平和賞受賞は、核兵器廃絶への新たな希望となるでしょう。被爆者たちの訴えを真摯に受け止め、私たち一人ひとりが平和のために何ができるのかを考え、行動していくことが大切です。