最近、気づかないうちに世界の情勢が大きく変化していると感じることはありませんか?政治・社会の動きは遠い国の出来事のように見えても、実は私たちの生活に深く関わっています。特に中東情勢は、日本にとって重要なエネルギー供給に関わるため、常に注視が必要です。本記事では、近頃大きなニュースとなったイランとイスラエルの対立を中心に、その背景にある歴史的な根源、そして日本への影響について詳しく解説します。また、私たちが身近に感じる社会の変化についても触れてみましょう。
親への尊敬、今は「お母さん」が優勢?
19歳から22歳の若者を対象とした調査で、「尊敬する親は?」という質問に対し、最も多かったのは母親でした。30年前は父親を尊敬する若者が多かったのですが、今は母親が圧倒的に多いという大きな変化が見られます。この理由の一つとして、「お母さんの方がたくさん働いているから」という声が挙げられています。
これは、現在の日本の家族構造の変化を反映しています。昔と比べて共働き世帯が専業主婦世帯を上回っていますが、総務省の調査によると、6歳未満の子どもがいる世帯では、妻が夫の約4倍近くも家事を担っているという結果が出ています。こうした状況を日々見ている子どもたちにとって、「お母さんはすごい」と感じ、尊敬の念を抱くのは自然なことと言えるでしょう。
日本で一番多いお店は?「美容室」の驚きの増加
街を歩いていると、「最近この店が増えたな」「あまり見かけなくなったな」と感じることがあります。では、現在日本で最も店舗数が多いのは、コンビニエンスストア、美容室、カフェ・喫茶店のどれでしょうか?
正解は、美容室です。他の業種と比べて圧倒的に店舗数が多くなっています。確かに、一つのビルの中に複数の美容室が入居しているのを見かけることもあります。美容室は比較的少ない人数でも開業できるため、独立する人が多く、この10年間で約4万店も増加しました。路面店だけでなく、ビルの2階以上でも営業しやすいという点も、増加の要因と考えられます。
緊迫する中東情勢:イラン vs イスラエル 対立の根源と日本への影響
イランとイスラエルの対立は連日大きなニュースとなっており、アメリカの介入により一応の沈静化を見せていますが、両国は何十年にもわたり緊張関係が続いています。さらに、イランは核開発を進めているのではないかという疑惑もつきまといます。このような遠い国の争いのように思える出来事も、実は日本と深く関係しています。
では、なぜイランとイスラエルは敵対しているのでしょうか?その根本的なきっかけは、イスラエルの建国にあります。第二次世界大戦後、1947年に国連はパレスチナ地域に、ヨーロッパで迫害されてきたユダヤ人のための国家樹立を認める決議を採択しました。これは、ユダヤ人の国とアラブ人の国がそれぞれの居住区を分けるというものでした。翌1948年にイスラエルが建国を宣言すると、もともとその地に住んでいたアラブ人たちは猛反発しました。
このような状況の中、イスラエル建国を世界で最初に承認し、強力なバックアップを行ったのがアメリカです。それ以来、土地などを巡って勃発した4回にわたる中東戦争でも、アメリカはイスラエルに武器を供与するなどして関係を深めていきました。
一方で、実はイランはこれらの中東戦争には一度も参戦していません。なぜなら、当時のイランは親米的な国王が治める新米国家であり、国王は国の欧米化を進めるなどアメリカ寄りの政策をとっていたため、イスラエルとも友好関係にあったのです。
ニュース解説者・池上彰氏がイランとイスラエルの対立、核施設問題、日本との関係などを図解で解説する様子
しかし、国王の独裁的な政治、拡大する経済格差、そして親米政策への国民の不満が高まり、革命が勃発しました。イスラム勢力によって国王は国を追われ、イランはイスラム教原理主義に基づいた国へと大きく変わりました。イスラム教の指導者たちにとって、イスラエルが聖地エルサレムの一部を占領していることや、多数のアラブ人難民を生み出していることは許容できない事態でした。これにより、イランはイスラエルを敵視するようになったのです。
さらに、イランから逃亡した国王をアメリカが保護したことから、イラン国民の怒りが爆発し、イランにあるアメリカ大使館を占拠する事件が発生しました。この事件により、イランとアメリカの関係も決定的に悪化しました。
革命以降、反米・反イスラエルの姿勢を鮮明にしたイランは、その後、核開発を進めているのではないかという疑惑が生まれることになります。近年のアメリカによる空爆の標的の一つも、核関連施設でした。
しかし、このイランの核施設についても、実はかつてアメリカが深く関わっていたという経緯があります。イランがまだ親米国家だった頃、アメリカはイランに対して原子力発電所の技術を教えていたのです。原子力発電の技術がそのまま核兵器開発に直結するわけではありませんが、イランに原子力の基礎的な技術を伝えたのはアメリカだったという事実は、歴史の皮肉と言えるでしょう。
こうした複雑な歴史を経て生まれた核関連施設に、イスラエルが先制攻撃を行い、それにアメリカが介入したのが、最近の軍事衝突の背景です。
現在は停戦状態にあるものの、もし再び両国の関係が悪化すれば、日本にも大きな影響が出ます。最も懸念されるのは石油の安定供給です。中東情勢が悪化すると、すぐに石油価格が高騰する傾向があります。日本は原油の約9割を中東から輸入しているため、その影響は非常に大きいのです。石油価格が上がれば、ガソリン代、電気代、さらにはプラスチック製品の価格など、私たちの身近なものが軒並み値上がりしてしまいます。だからこそ、私たちは中東が今どのような状況にあるのか、今後どうなっていくのかを常に注意深く見ていく必要があるのです。
【参考】
「池上彰のニュースそうだったのか‼」(テレビ朝日、7月5日放送より)