厚生労働省は社会保障審議会年金部会にて、遺族厚生年金制度の大幅な見直し案を提示しました。この記事では、変更点とその背景、今後の見通しについて詳しく解説します。
遺族厚生年金とは?現代社会における課題
遺族厚生年金とは、厚生年金加入者または加入していた方が亡くなった場合に、配偶者や子どもなどの遺族に支給される年金です。従来、男性が家計を支えるのが主流だった時代を背景に、女性への支給は手厚く設計されていました。しかし、共働き世帯が増加する現代において、この制度は男女間の不平等を生み出す要因となっていました。
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見直し案のポイント:男性の受給資格拡大、女性の受給期間見直し
今回の見直し案の大きなポイントは、男性の受給資格拡大と女性の受給期間の見直しです。これまで55歳以上でなければ受給資格がなかった男性についても、年齢要件を撤廃し、受給を可能とする方向です。一方、女性については、これまで生涯にわたって受給可能だった期間を大幅に短縮し、子どもが18歳になった後は5年間の有期給付とする案が示されました。
女性の受給期間短縮:その背景と新たな支援策
女性の受給期間短縮は、男女間の不平等を是正する狙いがあります。5年間の有期給付は、養育費用や就労準備のための期間と位置付けられ、支給額は現行よりも増額される予定です。また、障害や低所得など、生活再建が困難な場合に備え、5年以降も給付を継続できる仕組みも検討されています。
段階的な移行と今後の展望
今回の見直しは、現在受給中の方への影響を考慮し、今後20年かけて段階的に実施される予定です。これにより、制度の公平性を確保しつつ、円滑な移行を目指します。
パートタイム労働者への厚生年金適用拡大も
年金部会では、パートタイム労働者への厚生年金の適用拡大についても議論されました。2029年度までに、賃金要件と企業規模要件の撤廃、そして適用除外業種への適用拡大を段階的に進める方針が確認されました。詳細な施行日などは、今後与野党協議を経て決定される予定です。
まとめ:より公平で持続可能な年金制度へ
今回の遺族厚生年金の見直しは、変化する社会情勢に合わせた、より公平で持続可能な年金制度の構築に向けた重要な一歩です。「働き方改革」や「女性の社会進出」が進む中で、これらの改革は、より多くの人々が安心して暮らせる社会の実現に貢献するものと期待されています。 今後の動向に注目が集まります。