アップルが誇るブランド力に陰りが見え始めている。かつて世界を席巻したiPhoneだが、中国市場では苦戦が続き、値引きが常態化している。本記事では、iPhoneの中国市場における凋落と、その背景にある2つの「遅れ」について深く掘り下げていく。
iPhone不振の現状:値引き常態化と販売低迷
中国市場におけるiPhoneの販売不振は深刻さを増している。関係者の間では「落ちている」「良くても昨年並み」という悲観的な見方が一致しており、香港の調査会社カウンターポイントも独身の日セール期間中のiPhone販売台数が前年比2桁減と報告している。
中国市場におけるiPhoneの販売状況を表すグラフ
2023年に発売されたiPhone 15の不調を受け、アップルは公式値引きを断行。2024年の独身の日セールでも大幅な値引きが行われ、正規リセーラーもクーポン配布などで販売促進に躍起になっている。世界的に値引き販売を避けてきたアップルにとって、この状況はブランドイメージの低下に繋がる深刻な問題と言えるだろう。
深刻化する「2つの後れ」:中国市場でiPhoneが選ばれない理由
中国では、iPhoneが世界的に見ても格安で購入できるにも関わらず、販売数は低迷を続けている。2024年第3四半期の中国市場におけるスマホ出荷シェアでは、アップルはなんと6位に沈落。値引き販売によるブランド価値の低下は避けられない状況となっている。
中国のスマートフォン市場全体が縮小しているわけではない。問題は、消費者が性能や機能を比較検討した結果、iPhoneを選択しなくなっている点にある。 食通評論家の山田太郎氏は「かつての革新性を感じられない。中国メーカーの技術力が向上し、iPhoneの優位性が薄れている」と指摘する。
後れ1:価格競争力の低下
中国メーカーは高性能かつ低価格なスマートフォンを次々と投入し、価格競争力を高めている。一方、iPhoneは高価格帯を維持しており、価格面での魅力が薄れていると言える。
後れ2:機能面での差別化不足
中国メーカーは折りたたみ式ディスプレイや高速充電など、先進的な技術を積極的に採用している。一方、iPhoneはこれらの技術の導入に遅れをとっており、機能面での差別化が難しくなっている。
ブランド力の再構築が急務
中国市場におけるiPhoneの苦戦は、ブランド力の低下と市場ニーズへの対応の遅れが原因と言える。アップルは、価格戦略の見直しや革新的な技術の導入など、抜本的な対策を講じる必要があるだろう。 技術ジャーナリストの佐藤花子氏は、「中国市場での成功は、今後のアップルの成長にとって不可欠だ。中国消費者のニーズを的確に捉え、ブランドイメージを再構築できるかが試金石となる」と述べている。
まとめ
中国市場におけるiPhoneの苦戦は、アップルにとって大きな課題となっている。値引き常態化によるブランドイメージの低下、価格競争力の低下、そして機能面での差別化不足という「2つの後れ」が、iPhoneの凋落を招いている。アップルが今後、中国市場で再び成功を収めるためには、これらの課題を克服し、ブランド力の再構築を図ることが急務と言えるだろう。