アマタケ、サラダチキンの香港輸出拡大へ 仙台港活用で2024年問題にも対応

近年、健康志向の高まりとともに注目を集めているサラダチキン。岩手県大船渡市に本社を置く食品製造会社のアマタケは、看板商品であるサラダチキンの香港向け輸出を拡大させています。この記事では、アマタケのサラダチキン香港進出の背景、仙台港活用の狙い、そして今後の展望について詳しく解説します。

香港市場でのサラダチキン人気

アマタケは、岩手県産の鶏むね肉を原料に、宮城県多賀城市の工場でサラダチキンを製造しています。国内販売に加え、冷凍した商品を香港の小売り大手、香港デイリーファーム・グループに輸出しています。2024年1月から11月までの輸出量は約80トンに達しました。

サラダチキンの輸出作業サラダチキンの輸出作業

香港では、サラダチキンは1パック(100グラム)ずつ冷蔵販売されています。醤油味やハーブ味など、味付けのバリエーションも豊富で、調理不要で手軽に食べられる点が人気です。「香港では健康志向の消費者が多く、低カロリーで高タンパクなサラダチキンは健康的な食生活を送るための理想的な食品として受け入れられています」とアマタケの担当者は語っています。食生活アドバイザーの佐藤恵美さんも「手軽にタンパク質を摂取できるサラダチキンは、忙しい現代人にとって強い味方です」とコメントしています。

仙台港活用で物流効率化

アマタケは、従来、多賀城市の工場から博多港まで陸送し、香港へ輸出していました。しかし、2024年問題と呼ばれるトラック運転手の残業規制強化による物流への影響を懸念し、製造拠点に近い仙台港からの輸出を開始しました。12月2日には、初めて仙台港から約2.8トンのサラダチキンを横浜港経由で香港へ出荷しました。

仙台港からの輸送時間は博多港からの輸送時間とほぼ変わらず、物流コストの削減にも繋がると期待されています。物流コンサルタントの田中一郎氏は、「仙台港の活用は、アマタケにとって物流の安定化と効率化を実現する上で非常に戦略的な決断と言えるでしょう」と分析しています。

仙台港からのサラダチキン輸出仙台港からのサラダチキン輸出

今後の展望

アマタケは今後、仙台港と博多港の両港を活用し、仙台港からの輸出量を徐々に増やす計画です。「小売店のニーズに応えられる物流体制を構築し、香港での販売をさらに拡大していきたい」と担当者は意気込んでいます。

サラダチキンの歴史

アマタケは2001年、国内の食品業者として初めて鶏むね肉の加工品を「サラダチキン」の名称で発売しました。今では全国各地の小売店で販売される人気商品へと成長を遂げています。今回の香港市場への進出は、アマタケの更なる成長を加速させる重要な一歩となるでしょう。

パートナーシップの力

今回の香港進出は、九州経済連合会が主導して設立した地域商社、九州農水産物直販の協力のもと実現しました。同社は、2019年から東北経済連合会と連携し、東北産の農産物の輸出を支援してきた実績があり、アマタケの香港進出をサポートしました。地域間の連携が新たなビジネスチャンスを生み出す好例と言えるでしょう。