韓国の尹錫悦大統領に対する弾劾訴追案が14日に国会で採決される。国民の力党議員からも賛成に回る動きが出ており、可決の可能性が高まっている。12日に尹大統領は談話を発表し、弾劾訴追に「堂々と立ち向かう」と述べたものの、国民の不信感は深まるばかりだ。
支持率急落、国民の7割が弾劾に賛成
韓国ギャラップの世論調査によると、尹大統領の支持率は過去最低の11%まで落ち込み、不支持率は85%に達した。国民の75%が弾劾に賛成しており、非常戒厳令を「内乱」と見なす声も7割を超えている。国民からの厳しい視線が、弾劾訴追案の行方を左右しそうだ。
韓国の尹錫悦大統領(大統領府提供)
与党内からも賛成の声、可決に必要な票数に迫る
弾劾訴追案の可決には、在籍議員の3分の2以上の賛成が必要となる。野党や無所属議員に加え、与党・国民の力党から少なくとも8人の賛成が必要だ。韓国メディアによると、既に7人の国民の力党議員が賛成の意向を表明しており、可決に必要な票数に迫っている。
尹大統領は辞任拒否、憲法裁判所で争う構え
尹大統領は弾劾訴追されても辞任を拒否し、憲法裁判所で争う意向を示している。国民の力党は尹氏の早期退陣に向けた議論を重ねてきたが、尹氏はこれを拒否。「弾劾であれ捜査であれ堂々と立ち向かう」と強気の姿勢を崩していない。
国民の力党内は分裂、弾劾をめぐり意見対立
国民の力党内では、尹氏に近い議員を中心に反対論が根強い。韓東勲代表は尹氏の談話を受け、党として弾劾に賛成すべきだとの立場を表明したが、新たに院内代表に選出された権性東議員は反対方針を維持する考えを示している。党内は弾劾をめぐり意見が分裂しており、14日の採決に向け、党内での駆け引きが激化しそうだ。政治アナリストのキム・ヨンチョル氏は、「国民の力党は難しい選択を迫られている。弾劾に賛成すれば党内の分裂は避けられないが、反対すれば国民のさらなる反発を招く可能性がある」と指摘する。
14日の採決、韓国政局の行方を左右する
14日の弾劾訴追案の採決は、韓国政局の行方を大きく左右する重要な局面となる。可決されれば、尹大統領の職務は停止され、憲法裁判所の審判が始まる。否決された場合でも、国民の不信感はさらに高まり、政局の混乱は避けられないだろう。今後の動向に注目が集まっている。