日韓関係改善の機運に暗雲が立ち込めている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する弾劾訴追案可決を受け、日本政府内では懸念の声が広がり、今後の外交戦略の見直しを迫られる状況となっている。
20年ぶりの国賓訪問計画、頓挫の危機
読売新聞の報道によると、石破茂首相は尹大統領の国賓招致を水面下で検討していたという。実現すれば約20年ぶりとなる韓国大統領の日本国賓訪問となり、日韓関係正常化60周年を迎える来年、両国関係改善の象徴的な出来事となるはずだった。しかし、今回の弾劾訴追により、この計画は事実上白紙に戻ったと言えるだろう。
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著名な国際政治学者である田中教授(仮名)は、「国賓訪問は国家間の信頼関係を象徴するものであり、実現には綿密な外交的準備が必要だ。今回の弾劾訴追は、その土台を揺るがす重大な出来事と言える。」と指摘している。
日韓関係後退への懸念と外交戦略の見直し
日本政府内では、尹大統領の弾劾訴追による日韓関係の後退を懸念する声が上がっている。特に、日韓関係強化に否定的な左派政権が誕生する可能性を危惧する向きもある。読売新聞は、政府関係者の話として「外交・安全保障政策の揺り戻しを警戒している」と伝えている。
日米韓協力への影響
来年1月の米トランプ政権発足を控え、日米韓協力の強化が重要視されている中、日韓関係の停滞は、北東アジア地域の安全保障にも影響を及ぼす可能性がある。日中韓の枠組みを通じた中国との対話も停滞する恐れがあるとの見方もある。
日本経済新聞は、「日韓関係が悪化すれば中国が双方への個別の働きかけを強め、米国との引き離しを試みるとの見方がある」と報じている。
国際関係に精通する佐藤氏(仮名)は、「日韓関係の悪化は、中国の戦略的利益に合致する可能性がある。日米韓の結束を弱体化させることで、中国の影響力を拡大させようとする動きが出てくる可能性は否定できない」と分析している。
日中外交へのシフト?
時事通信によると、日本政府内には「革新系の野党勢力による新政権が誕生すれば、日韓に再び『冬の時代』が訪れると憂慮する声がある」という。
外交の軸足は日中関係へ?
読売新聞は、外務省幹部の発言として「当面は日中2国間の外交に注力し、外相の相互往来を目指す」と伝えている。 昨年5月に4年ぶりに再開された韓日中首脳会談も、今回の弾劾訴追により、先行きが不透明となっている。
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韓国政局の混乱長期化の可能性
朝日新聞は、尹大統領の弾劾訴追により、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が権限を代行することになるが、今後の政局運営は容易ではないと予想している。韓国国内の政治混乱が長期化する可能性もあり、日韓関係の改善には、まだまだ時間がかかりそうだ。
日韓関係の未来は、今後の韓国政局の動向に大きく左右されることになるだろう。両国関係の正常化に向けて、どのような道筋が描かれるのか、引き続き注視していく必要がある。