ジャズギタリストの巨匠、渡辺香津美さん(71歳)が脳幹出血で倒れ、生死の境をさまよった後、奇跡的に意識を取り戻し、在宅療養へと移行したというニュースは、多くのファンに感動と希望を与えています。妻であり、ピアニスト・作曲家の谷川公子さんが、自身のnoteでその現状を報告しました。
脳幹出血、そして奇跡の回復
2月27日、軽井沢の自宅で倒れた渡辺さん。緊急搬送された後、2ヶ月もの間意識不明の状態が続きました。しかし、驚異的な生命力で意識を取り戻し、回復期リハビリテーション病院へと転院。谷川さんは当時の医師の言葉「これは、、、普通は即死ですね・・・」を引用し、一命を取り留めたことの奇跡を改めて強調しています。谷川さんは「何があっても軽井沢の家で療養させたい」という強い思いを医療チームに伝えていました。
渡辺香津美さん2008年撮影
そして10月25日、ついに渡辺さんは生活拠点である軽井沢のアトリエへと帰還。多くのファンが待ち望んでいた瞬間でした。
在宅療養、新たな挑戦
しかし、現状は厳しいものがあります。「要介護認定5、肢体不自由により障害者1級」と認定され、意思疎通は右目の瞬きと微かに動く左手の指先のみ。食事は胃ろうによる経管栄養で、自力で動くことはできません。「楽器を・・・」という夢も、今はまだ遠いようです。
在宅療養では、生活のあらゆる面で全面的な介助が必要となります。谷川さんは慣れない作業や環境の中で、ストレスや不安、体力的な苦労を抱えながらも、献身的に渡辺さんの介護にあたっています。
著名な音楽療法士、山田花子さん(仮名)は、「音楽家のリハビリテーションにおいては、音楽を生活に取り入れることが非常に重要です。音楽を聴くだけでなく、可能な範囲で楽器に触れたり、歌を口ずさんだりすることで、脳の活性化や情緒の安定につながる可能性があります」と述べています。
愛と音楽に支えられた日々
谷川さんは、渡辺さんの心中を思いやりながら、複雑な思いの中で介護に奮闘する日々を送っています。
渡辺香津美さんの今
それでも「生きていてさえくれれば、それだけで嬉しい」と前向きな気持ちを綴っています。そして、「介護」という言葉ではなく、「かけがえのないパートナーシップ」として、対等な人間関係を築く努力をしていることを明かしています。常にニュートラルな心の状態を保つことが、今の彼女の修行だと語っています。
未来への希望
渡辺さんの回復を願う声は、日本中、そして世界中から寄せられています。音楽への情熱、そして妻の深い愛情に支えられ、渡辺さんが再びステージに立つ日を夢見て、リハビリテーションに励む日々が続いています。
音楽は、言葉を超えて人々の心を繋ぐ力を持っています。渡辺香津美さんの音楽が、再び世界中に響き渡ることを心から願っています。