知人の女子大学生への性的暴行容疑で一審有罪判決を受けた医大生2名に対し、大阪高等裁判所は2024年12月18日、逆転無罪判決を言い渡しました。本記事では、この判決の背景と争点について詳しく解説します。
事件の概要と一審判決
2022年3月、医大生3名(A、B、C)が、知人の女子大学生に性的暴行を加えたとして起訴されました。大津地方裁判所での一審判決では、主犯格とされたCには有罪判決が下され、控訴も棄却、最高裁へ上告中です。一方、AとBは女子大学生の同意があったと主張し無罪を訴えていました。しかし、大津地裁はAには懲役5年、Bには懲役2年6か月の実刑判決を言い渡しました。Aは直接的な暴行や脅迫はなかったものの女子大学生の意思を無視したとされ、Bは性的接触はなかったものの動画撮影や共犯者を煽る発言で犯行に関与したと判断されました。AとBはこの判決を不服として控訴しました。
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大阪高裁の逆転無罪判決:同意の有無をめぐる攻防
12月18日、大阪高裁はAとBに対し逆転無罪判決を下しました。判決理由として、女子大学生の供述に不自然な点があること、事件当日に撮影された動画から女子大学生が自らの意思で性的な行為に応じた可能性が否定できないこと、脅迫とされた発言も性的な行為において見られる卑猥な発言の範疇であり明確な脅迫や暴行と認められないことなどを挙げ、女子大学生の同意があった疑いが払拭できないと結論づけました。
女子大学生の供述の信憑性
高裁は、女子大学生が当初、警察への被害申告において一部事実と異なる説明をしていた点に着目しました。これは、無理やり性行為をされたと信じてもらうための作為的な行動だった可能性があると指摘し、供述の信憑性に疑問を呈しました。
動画証拠の解釈
事件当日に撮影された動画は、本件において重要な証拠となりました。高裁は、動画から女子大学生がためらう様子もなくCの自宅に入り、当初は自らの判断で性的な行為に応じているように見えると判断しました。この解釈が、同意の有無を判断する上で大きな影響を与えたと考えられます。
脅迫の有無
一審では、AとBの発言が脅迫にあたると判断されましたが、高裁はこれらの発言を性的な行為において見られる卑猥な発言の範疇と解釈し、明確な脅迫とは認めませんでした。
今後の展開
今回の判決は、性犯罪における同意の有無の判断の難しさを改めて浮き彫りにしました。AとBは逆転無罪となりましたが、検察側が上告する可能性も残されています。今後の展開が注目されます。
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