K-POP旋風が吹き荒れる中国。年末年始にかけて様々な公演が開催される中、K-POPコンサートも高い人気を誇っています。しかし、ステージに立つのは韓国のアーティストではなく、中国のアーティストたち。彼らは韓国の人気曲をカバーし、観客を魅了しています。一体なぜこのような状況が生まれているのでしょうか?本記事では、限韓令下における中国のK-POP事情、そしてその背景にある複雑な現状を紐解いていきます。
限韓令とK-POPカバーコンサートの隆盛
中国最大の公演チケット販売サイト「大麦」の情報によると、2025年1月8日、北京市朝陽区の朝陽劇場で「K-POPライブ巡回コンサート」が開催予定。天津、西安を経て、北京でファイナルを迎えるこのツアーは、NewJeans、aespa、BLACKPINK、EXOといった人気グループの楽曲をカバーするというもの。チケットは890円から12200円と幅広い価格帯で販売されています。
K-POPコンサートのポスター
実は、このようなK-POPをテーマにしたコンサートは中国本土で頻繁に行われています。山東省済南、山西省太原、天津など、各地で中国人のアーティストによるK-POPカバーコンサートが開催され、多くの観客を集めているのです。これらのコンサートでは、観客が曲の振り付けを熟知していることを前提に、事前にセットリストが公開されることも。観客も一体となって踊り、会場は大盛り上がりを見せているようです。
天津で開催されたK-POPコンサートに参加した中国人は、中国版Twitterである微博に「ボーカルの歌唱力とダンスパフォーマンスは素晴らしく、独自のスタイルも感じられた。みんなで一緒に踊って盛り上がり、自然と歓声が上がった」と投稿。熱狂ぶりが伝わってきます。
なぜ韓国人アーティストは出演できないのか?
中国ではK-POPコンサートが盛況である一方、オリジナル曲を歌う韓国人アーティストはステージに立つことができません。これは、2017年に発動された「限韓令」によるもの。韓国のTHAADミサイル配備に反発した中国が、韓国人アーティストの中国国内での公演、韓国映画・ドラマの流通などを禁止したのです。香港、マカオ、台湾では活動が可能ですが、限韓令の影響で機会は大幅に減少しています。
中国の文化当局がK-POP消費を完全に取り締まるのは難しく、また、出演するのが韓国人アーティストではないため、中国の公演企画会社によるK-POPカバーコンサートは開催可能になっていると考えられています。
限韓令解除後のK-POP市場を見据えて
韓国の音楽業界関係者からは、限韓令が解除された後に中国市場へ再進出するためには、K-POP人気を維持し続けることが重要だという意見も出ています。違法なカバーコンサートであっても、K-POPの認知度向上に貢献している側面もあるため、むやみに取り締まるべきではないという複雑な事情も存在するのです。
K-POPを楽しむ中国人ファン
今後の展望
限韓令下における中国のK-POP事情は、複雑な問題が絡み合っています。著作権の問題、中国のエンタメ市場の動向、そして日中韓の関係性。今後の展開が注目されます。
中国のK-POPカバーコンサートは、単なる模倣ではなく、独自の進化を遂げているとも言えます。限韓令の行方、そしてK-POPの未来は、中国の若者たちの熱狂の中に、そのヒントが隠されているのかもしれません。