兵庫県知事選の結果や、それを取り巻くメディア報道について、様々な議論が巻き起こっています。特にTBS「報道特集」やフジテレビの報道姿勢には批判の声も上がっており、「オールドメディア」という言葉が改めて注目されています。一体何が問題となっているのでしょうか? 本稿では、これらの問題点を探り、メディアの役割について考えていきます。
メディアの役割と公共性
「オールドメディア」とは、新聞やテレビといった従来型のメディアを指す言葉として使われています。兵庫県知事選に関する報道で、TBS「報道特集」は偏向報道だと批判され、フジテレビはPR会社社長宅への突撃取材で疑問視されています。これらの報道には、確かに疑問を感じる点もあります。
しかし、「オールドメディア」という言葉自体には違和感があります。「メディア」と「ジャーナリズム」は分けて考えるべきです。本来、通信と放送は別物でした。放送は不特定多数に向けた一方的な情報発信であるのに対し、通信は1対1のやり取りでした。そのため、通信には秘匿性が、放送には公共性が求められます。限られた電波を各テレビ局に割り当てる根拠は、まさにこの公共性にあります。
報道番組のスタジオ風景
インターネットの普及により、通信も1対多の情報発信が可能になりました。インターネットメディアが「いいね」獲得のために大谷翔平選手の愛犬の写真を掲載しても、それは問題ありません。なぜなら、そこには公共性が求められていないからです。
ジャーナリズムの責任と課題
一方で、電波という公共の財産を利用するテレビ局には、ジャーナリズムとしての責任があります。事実に基づいた公平な報道を心がけ、視聴者の知る権利を満たす義務があるのです。
兵庫県知事選に関する報道では、告発後に亡くなった元県民局長への公益通報者保護について、知事の対応を批判する声がありました。しかし、批判するだけでなく、多角的な視点からの報道が求められます。
例えば、公益通報者保護制度の現状や課題、地方自治体における内部告発の難しさなど、背景にある問題を掘り下げることで、より深い理解につながるはずです。
公平性と中立性
メディアは、特定の立場や意見に偏ることなく、公平かつ中立的な立場で報道を提供する必要があります。情報の出所を確認し、裏付けを取ること、そして異なる意見も紹介することで、視聴者は自ら判断材料を得ることができます。
視聴者との対話
メディアは一方的に情報を発信するだけでなく、視聴者との対話も重要です。視聴者の意見に耳を傾け、疑問や批判にも真摯に向き合うことで、信頼関係を築き、より良い報道を提供できるようになります。
メディア論を専門とする架空の大学教授、山田一郎氏は、「視聴者からの批判は、メディアにとって貴重なフィードバックです。批判を真摯に受け止め、改善に繋げる努力が不可欠です。」と述べています。
今後のメディアのあるべき姿
情報化社会において、メディアの役割はますます重要になっています。フェイクニュースや情報操作が蔓延する中で、信頼できる情報源としての役割を果たすことが求められます。
そのためには、ジャーナリズムの原点に立ち返り、事実に基づいた公平な報道、多角的な視点、そして視聴者との対話を重視していく必要があります。
最後に、メディアは社会の公器としての自覚を持ち、責任ある報道を心がけることが重要です。視聴者もメディアリテラシーを高め、情報を批判的に読み解く力を養う必要があります。 共に努力することで、より良い情報環境を築いていくことができるでしょう。