【主張】英紙の靖国「誤報」 戦没者追悼を傷つけるな


靖国神社=東京都千代田区

 英タイムズ紙が、英軍人で作るラグビーチームによる靖国神社参拝に対して、ポール・マデン駐日英大使が注意したと報じた。これに対して英大使館は公式ツイッターで「大使は、神社を訪れないようにと誰かに指示したことはありません」と否定した。

 靖国神社は日本の戦没者慰霊の中心的施設である。日本の246万余柱の英霊に加え、境内の鎮霊社に空襲などで亡くなった国民や、外国の戦没者の霊が祀(まつ)られている。

 英軍ラグビーチームは、防衛省が主催した「国際防衛ラグビー競技会」参加のため来日した。戦没者の追悼は世界中の国々で行われている。第二次世界大戦で戦った英軍のチームの参拝を知った多くの日本国民が感謝している。

 ところがタイムズ紙は「戦争犯罪者の神社を訪問した」と伝え、英大使からチームのリーダーが「いかなる神社にも訪問しないように言われた」と報じた。

 英軍チームは、靖国神社の鳥居前での写真をツイッターに投稿していたが、批判的なコメントが寄せられ、削除してしまった。

 一方、英大使館は公式ツイッターで「英国政府は靖国神社参拝に関して様々(さまざま)な考えがあることを理解しています」としつつ、どの神社であれ訪問しないよう大使が指示したことはないと説明した。

 タイムズ紙が、靖国神社を軍国主義とアジア侵略のシンボルと否定的に捉え、さらに英大使の発言を誤って報じたとすれば、フェイクニュースといわれても仕方あるまい。

 日本人が靖国神社に寄せる思いを踏みにじる心ない報道であり、残念というほかない。良好な日英関係に水を差すことにもなりかねない。英大使館が誤解を解こうとしたのは妥当だろう。

 タイムズ紙の報道は本紙も転電したが、日本や英国だけでなく、その他の国へも広がった。

 韓国の新聞、通信社なども取り上げた。韓国有力紙の中央日報(日本語版)は、「駐日英国大使が叱責」などの見出しで、タイムズ紙の報道を引用した。

 そのうえで、中央日報は「歴史に対する無知が露呈する姿を見せた」と、参拝した英軍チームを厳しく非難したのである。

 事実と異なる反日的な報道が内外を独り歩きすることが繰り返されてはならない。



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