トランプ氏、カナダを「51番目の州」と挑発、同盟国への圧力強化か?

カナダのトルドー首相が、ドナルド・トランプ前米大統領から「州知事」呼ばわりされ、「カナダは米国の51番目の州になるべきだ」と挑発されている。この一件は、トルドー首相の政治的立場をさらに弱体化させる可能性がある。CNNは、トランプ氏の次の標的は、カナダのように指導者の求心力が低下している韓国、ドイツ、フランスなどの同盟国になる可能性があると分析している。

トランプ氏の挑発とカナダの苦境

トランプ氏は自身のソーシャルメディアで、「多くのカナダ人は、カナダが米国の51番目の州になることを望んでいる。税金と軍事費を大幅に節約できる素晴らしいアイデアだ」と投稿。以前にも、不法移民と麻薬流入を理由にカナダからの輸入品に25%の関税を課すと発言し、トルドー首相は会談で事実上譲歩を迫られた経緯がある。

カナダとアメリカの地図カナダとアメリカの地図

こうした圧力に屈したトルドー首相の立場は、側近のフリーランド副首相兼財務相の辞任によってさらに弱まっている。フリーランド氏はトランプ前政権時代に対米強硬派として知られていた人物。トランプ氏は彼女の辞任を好機と捉え、「フリーランドの行動は有害だ。彼女は惜しまれないだろう」と投稿し、改めて「カナダは51番目の州」と挑発を繰り返した。

もしトルドー首相が辞任した場合、トランプ氏と親和性の高い保守党のポワリエーブル党首が次期首相になる可能性も囁かれている。

標的は他の同盟国にも?

CNNは、「トランプ氏の視線は現在カナダとメキシコに向けられているが、就任後には他の『不公平な貿易関係』にも目を向けるだろう。同盟国の内政に躊躇なく介入する彼の姿勢は、政争に揺れるフランス、ドイツ、韓国などの政府も警戒すべきだ」と指摘。これらの国々がトランプ氏の次の標的になる可能性を示唆している。

フランス、ドイツ、韓国の国旗フランス、ドイツ、韓国の国旗

フランスのマクロン大統領は、慣例を破り左派連合から首相を任命しなかったことで不信任決議が可決され、政治的危機に直面。ドイツのショルツ首相も不信任決議を受け、予定より7カ月早い来年2月の選挙を控えている。

韓国の状況はさらに深刻だ。尹錫悦大統領は弾劾訴追案が国会で可決され、職務停止状態にある。憲法裁判所の決定までは首相の代行体制となり、早期の大統領選挙の可能性もある。

ホワイトハウスホワイトハウス

トランプ氏はこれらの事態に沈黙を保っている。最近の記者会見では、中国の習近平国家主席、日本の岸田文雄首相、北朝鮮の金正恩国務委員長について言及したものの、韓国については触れていない。駐韓米国大使の候補者についても、今のところ情報がない。

専門家の見解

国際政治アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「トランプ氏は同盟国との関係を軽視する傾向があり、彼が政権を握ると米国との関係維持が困難になる可能性がある。2期目となれば、この傾向はさらに顕著になるだろう」と分析している。

今後の展望

CNNは、「トランプ氏は数十年かけて築かれた同盟関係を無視する姿勢を見せている。友好国にとっては、彼が政権を握れば米国との関係管理が難しくなる可能性がある。この姿勢は2期目ではさらに強まるだろう」と予測している。今後の国際情勢に大きな影響を与える可能性があり、注視が必要だ。

まとめ

トランプ前大統領によるカナダへの挑発は、同盟国に対する圧力の一環と見られる。指導者の求心力が低下している国々が、今後の標的となる可能性がある。国際社会は、トランプ氏の動向を注視し、適切な対応策を検討する必要があるだろう。